重視する政策「教育・子育て」が最多 県政の対応「評価」5割<沖縄県議選 争点点検>3

県議選の準備を進める県選挙管理委員会の職員ら=6日、県庁

第14回県議会議員選挙は7日に告示され、16日の投開票に向けた選挙戦に突入する。2期目の玉城デニー知事の県政運営への中間評価に位置づけられ、与野党どちらが議席の過半を占めるかが最大の焦点となる。立候補予定者が考える重要政策や物価高騰などを受けた経済対策、南西諸島への自衛隊配備、名護市辺野古の新基地建設の是非などが主要争点となる。候補者のうち5月末までに回答のあった70人から得た政策アンケートを基に、9日間の選挙戦の争点を整理する。 (’24県議選取材班)

「教育・子育て」6割 貧困率、教員不足を問題視 【重視する政策】

 県議会は県執行部が提出する予算や条例、人事などの議案審議を通じて県政運営を点検、監視する役割を担う。県議は議決によって県政の方向性を決定し、課題解決に導く重責がある。立候補予定者は県議選に向けて、それぞれが課題解決に向けた政策を発表している。琉球新報が実施したアンケートで重視する政策を複数の選択肢から三つ選んでもらった。

 立候補予定者75人のうち5月末までに回答があった70人で、最多は「教育・子育て」の42人(60%)だった。与野党問わず選択しており、子どもの貧困率が全国平均の約2倍に上るとされる状況や、深刻な教員不足などへの問題意識が浮き彫りとなった。

 次いで多かったのは「経済振興」の24人(34.3%)だった。コロナ禍により深刻な打撃を受けた県経済の立て直しや物価高騰への対策の必要性が見て取れた。

 県政最大の政治課題となっている米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設をはじめとする「米軍基地問題」を選択したのは22人(31.4%)だった。

 「自衛隊配備問題」は10人(14.3%)が選択した。

「評価する」「しない」きっ抗 【県政評価】

 今回の県議選は、玉城デニー県政2期目の「中間評価」に位置づけられる。琉球新報が立候補予定者を対象に実施したアンケートでは、玉城県政の評価について「どちらでもない」や無回答の4人を除き、「評価する」と「評価しない」がともに33人(47.1%)ときっ抗した。

 県議会の与野党構成は、米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設をはじめとした米軍基地問題や自衛隊配備強化、子どもの貧困問題など、さまざまな課題を抱える県政運営への影響も大きい。

 立民や共産、社民、社大、無所属の与党系立候補予定者は安定した県政運営を目指し、議席過半の維持を訴える。一方の野党、自民の立候補予定者は中立の公明と連携して議席過半を獲得し、次期知事選での県政奪還への足がかりとしたい考えだ。改選後、与野党勢力がきっ抗した場合は政策ごとに是々非々の立場を取る維新や無所属中立の判断が政策決定の行方を左右する。

県政の対応「評価」5割 子どもの貧困、最重要課題に 【教育・子育て】

 教育や子育てに関して、県は「子どもの貧困」の解消は県政の最重要課題と位置付けている。また県が抱える教員不足は全国的にも深刻な課題であり、議会での活発な議論が求められる。本紙が各立候補予定者に実施したアンケートでは、21人(30%)が、最重要政策で「子育て」や「教育」に言及した。

 県が2015年に実施した調査で、沖縄の子どもの貧困率が29.9%で全国の約2倍に達すると判明して以来、充実した支援策が求められてきた。本紙のアンケートでは、玉城県政の子どもの貧困対策を「評価する」と回答したのは35人(50%)で、「評価しない」は31人(44.3%)、「どちらでもない」は3人(4.3%)だった。

 教員不足解消も喫緊の課題だ。県教育庁によると、県内の公立学校における教職員未配置は4月時点で12人だった。昨年同時期と比べ未配置は減少したが、未配置のある学校では教員が授業をカバーし合うなどして負担となっている。教員の確保に加え、業務負担を減らす働き方改革に向けた議論も期待される。

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