「AmiVoice Communication Suite」、兵庫県における電話での児童相談の記録作成時間削減に向けた実証実験で成果

アドバンスト・メディアは、同社が提供するAI音声認識ソリューション「AmiVoice Communication Suite(アミボイス コミュニケーション スイート)」が、兵庫県姫路市こども家庭総合支援室(現:子育て支援室)における児童相談の記録作成時間削減に向けた実証実験で、残業時間約66%の削減を実現したことを、6月5日に発表した。

兵庫県姫路市こども家庭総合支援室では、市民や関係機関からの聞き取りを電話で行うことが多く、相談内容の記録作成に多くの時間を費やしていた。また、電話対応終了後に記録を作成していたため、迅速な情報共有が難しく担当者以外の職員が相談状況を把握しにくいという課題もあった。さらに、時間外労働の多くを記録作成業務が占めており、本来の業務である相談内容の解決に向けた支援検討の時間が圧迫されていた。

このような状況を受けて、同支援室では1月~2月に通話時の会話を自動でテキスト化することによって、作業の負荷を軽減する「AmiVoice Communication Suite」を活用した実証実験を実施。相談者と担当者の通話内容をリアルタイムでテキスト化して、通話終了後にテキスト化された内容を参照しつつ編集することで、相談記録作成時間の削減効果について検証した。

実証実験の結果、「記録作成に要する残業時間」が実証前の月平均16時間から月平均5.5時間まで短縮され、記録の質も向上した。そのほか、「年休取得率」が実証前は月平均0.7日だったのに対して、実証後は月平均1.6日になり0.9日の改善につながっている。

記録作業にかかる残業時間が削減されたことによって、相談後に経過確認を行うアドバイザー会議や支援方針の検討を行う個別ケース会議といった、職員間で情報共有を行う時間を確保できるようになり、本来の業務である相談後の対応の質についても向上が期待されている。

同実証に参加した職員からは、「通話内容がリアルタイムにテキスト化されるためメモを取らずに済み、話に集中できる」「市民からの電話相談に丁寧な対応ができていたかを、テキスト化された文面から自分で振り返ることができる」と高評価が得られた。これを受けて同支援室では、業務効率の改善を目指して児童相談の記録作成時間削減に向けた、システムの本格的な導入を検討しているという。

「AmiVoice Communication Suite」は、総務省が2015年に通達した庁内ネットワークを「マイナンバー系」「LGWAN系」「インターネット系」の3系統に分離してセキュリティの強化を図る、「三層分離」に適応している。「マイナンバー系」から音声認識や通話詳細、応対履歴などを確認できるようにすることで、自治体の基準を満たしたセキュアな環境での利用を実現した。

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