中国新エネ車が迫られる残酷な二者択一―中国メディア

4日、中国のポータルサイト搜狐に、値下げ競争が加熱する中国の自動車業界において、自動車メーカーは「販売シェアを取るか、利益を取るか」の過酷な二者択一を迫られているとする文章が掲載された。

2024年6月4日、中国のポータルサイト搜狐に、値下げ競争が加熱する中国の自動車業界において、自動車メーカーは「販売シェアを取るか、利益を取るか」の過酷な二者択一を迫られているとする文章が掲載された。

記事は、昨年に中国自動車市場で3回起こった値下げの大きな波は今年前半になっても続いており、各社が値下げ競争を繰り広げているとする一方、新エネルギー車を主力商品とする自動車会社のうち、昨年1年間で黒字を出せたのはBYDとテスラ、理想汽車だけだったと伝えた。

そして、度重なる値下げは自動車会社の粗利率に影響を与えており、小鵬や蔚来、零跑など大部分のメーカーの粗利率は健全とされる20%を切り、テスラも昨年から20%を下回って今年1〜3月には2021年以降裁定の17.4%にまで落ち込んだと指摘。20%を少し上回っているのは理想とBYDだけだったと紹介した。

また、値下げによって販売台数が増え、スケールメリットによってコスト削減が実現するのであれば、自動車メーカーにとってはメリットがリスクを上回ることになるものの、値下げをしても販売量の増加につながらないケースも出ていると指摘。全国乗用車情報連席会の崔東樹(ツイ・ドンシュー)事務局長が「販売台数が依然として新エネ車企業生存の基本であり、そのために値下げ競争が繰り広げられている。現在、業界は急速な淘汰の段階に入っており、すべての企業が順調に発展することは不可能だ」との認識を示したことを伝えている。

その上で、2021年にわずか14.8%だった中国の新エネ車普及率は今年4月に50%に到達したと紹介。これからの課題は成長率が鈍化する中でいかに普及率を高めていくか、化石燃料車の新エネ車へのシフトをどう加速するかだとしつつ、現在の成長ペースでは新エネ車が利益を出し持続可能な経営を実現することは難しいという業界関係者の見方を伝えた。

さらに、中国自動車市場の現状は日系を含む外国系メーカーにとっても厳しいとし、値下げ競争が激化した4月にはトヨタが生産台数前年同期比25%減、販売台数も同27%減となり、ホンダも生産が同約22%減、日産も同10.4%減になったと紹介。ホンダは中国の合弁会社で従業員の14%に相当する約1700人を解雇したと伝えた。また、中国汽車工業協会によると、日系車の中国市場シェアは20年の23.1%から今年1~4月には約半分の12.2%にまで減ったとした。

記事は、小鵬の何小鵬・最高経営責任者(CEO)が「2027年までに市場で生き残るメーカーは激減し、業界は安定期に入るだろう」との見通しを示したことを紹介した上で、合弁ブランドであれ、中国国産ブランドであれ、27年まで生き残るのは大きな試練と言えそうだと評している。(翻訳・編集/川尻)

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