県警不祥事隠蔽「意図した指示一切ない」…本部長が前生安部長の主張を否定会見 県議会委は11日に集中調査

記者の前でコメントする鹿児島県警の野川明輝本部長=7日午後6時、鹿児島市の県警本部

 国家公務員法(守秘義務)違反の疑いで逮捕、送検された前鹿児島県警生活安全部長で無職男(60)=鹿児島市紫原5丁目=が「野川明輝本部長が県警職員の犯罪行為を隠蔽(いんぺい)しようとしたため漏らした」と主張していることについて、野川本部長は7日、「隠蔽を意図した指示は一切ない」と否定した。県警は同日夕、記者クラブの加盟社に急きょ連絡し、県警本部で説明した。

 野川本部長は6日の報道陣の取材に「(隠蔽かどうかは)捜査の中で必要な確認を行う」と述べ、否定も肯定もしていなかった。

 翌7日の説明では、容疑者の主張について「動機に関することであり、なぜそのような主張をしたのか、捜査で必要な確認を行う」と強調。「捜査終結時に、説明できることはしっかり説明する」と述べた。

 関係者によると、容疑者が漏らしたとみられる文書の中に、野川本部長が隠蔽を指示したとうかがわせるような記載はなかった。

 県警によると、容疑者は県警の他の部長を問い合わせ先と記した上で、公表を望んでいない事件の女性被害者の名前などを第三者に漏らしたとしている。南日本新聞の取材では「他の部長」は前刑事部長。容疑者が漏らしたとされる事案の内容については、2023年に男性警察官が、市民の情報をまとめた「巡回連絡簿」を使い、県内の女性に携帯電話で性的な内容を含むメッセージを送った可能性がある。

 容疑者は鹿児島簡裁で5日あった勾留理由開示手続きで、トイレに侵入して女性を盗撮したとして逮捕、起訴された巡査部長の事件対応と合わせて、県警側を批判していた。

◇県警不祥事を11日に集中調査 県議会総務警察委

 鹿児島県議会総務警察委員会は11日、前鹿児島県警生活安全部長が国家公務員法(守秘義務)違反の疑いで逮捕、送検された事件など県警の一連の不祥事について集中的に調査する。事件を巡る野川明輝本部長の対応などについて、質疑を交わすとみられる。

 議会事務局議事課によると、同委員会は当初11日の冒頭に県警本部の一般調査を行う予定だった。一連の不祥事を受け、調査終了時間が読めず他の部局の審査・調査に影響があると判断した。同日最後に組み替え、調査する予定。調査時間が足りないと判断した場合は、12日の予備日も使う可能性もある。

 同委員会は西村協委員長(自民、枕崎市区)ら計10人で構成。他委員会の議員の傍聴や質問も可能で、複数議員から参加を希望する声が上がっている。

〈別カット〉記者の前でコメントする鹿児島県警の野川明輝本部長=7日午後6時、鹿児島市の県警本部

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