高砂大学校に96歳の「1年生」 過去最高齢・金石の越田さん

音読の授業に取り組む越田さん(手前)=金沢市中央公民館彦三館

  ●78年ぶりに「学び」満喫

 65歳以上の市民を対象に生涯学習の場を提供している高砂大学校で、過去最高齢の「1年生」が学びに励んでいる。今年4月、96歳で入学した金沢市金石東1丁目の越田迪(すすむ)さんだ。週1回、市中央公民館彦三館に通って歴史や文学、健康づくりなどを勉強しており、1946(昭和21)年に金沢工業専門学校(現金大理工学域)を卒業して以来、78年ぶりとなる「学生生活」を満喫している。

 高砂大学校は1963(昭和38)年に開校した。今年は217人が入学し、平均年齢は73歳。これまでの最高齢入学者は2009年に入学した91歳の男性で、越田さんは15年ぶりに最高齢を更新した。

 越田さんは、中央公民館彦三館3階にある教室まで階段で移動するほど元気で、音読の授業では宮沢賢治の「雨ニモマケズ」や「平家物語」などをはきはきと読み上げる。「学生時代は理系だったので、全く違った分野を学べる」。他の生徒と一緒にさまざまな分野を勉強できるのが楽しいという。

 1927(昭和2)年、5人兄弟の2番目に生まれた越田さんは、教育熱心な父の影響で県師範学校附属小(現金大附属小)に入学し、金沢一中(現泉丘高)へ進んだ。卒業後は自動車販売会社や県庁勤務を経て、70歳まで市内のタクシー会社で働いた。

 高砂大学校に入学したのは「生きがいを持ってほしい」と長女に紹介されたのがきっかけだった。今年度は、60歳以上が健康づくりや郷土史などを学ぶ「いしかわ長寿大学」にも最高齢で入学した。

  ●「囲碁仲間欲しい」

 趣味は囲碁と謡(うたい)だが、囲碁の相手だった弟が亡くなってから打つ機会はなくなった。高砂大学校では同級生との交流も少しずつ広がっており、越田さんは「大学で囲碁仲間を見つけたい」と話した。

 高砂大学校を運営する同公民館の田鶴直人館長は「前向きに学ぶ96歳の姿が、他の生徒にとって良い影響をもたらしてほしい」と語った。

© 株式会社北國新聞社