18年ぶりボンボコ祭 25年4月に、射水・西宮神社 不漁の「魔」払う奇祭

前回のボンボコ祭で豊漁を願って奉納されたボンボコ舞=2007年4月、新湊沖

  ●復興願い漁師舞う

 射水市本町の西宮神社で、不漁や海難事故に見舞われた翌年に不定期に行われてきた奇祭「ボンボコ祭(まつり)」が来年4月、18年ぶりに営まれることになった。今年は能登半島地震が発生し、富山県内でベニズワイガニやシロエビなどの不漁が続いているため、神社関係者らが実施を決めた。震災前の豊漁を願う。

 ボンボコ祭は1580(天正8)年に始まったとされる。毎年の祭りではなく、地元で不漁や海難事故などが発生した翌年などに限って豊漁や漁師の安全を祈願するため、西宮神社の春季例大祭前日に営まれてきた。前回は不漁だった2006年の翌07年に神社創建1260年に合わせて実施された。15年に射水市で天皇、皇后両陛下(現上皇ご夫妻)を招いて開催された第35回全国豊かな海づくり大会では、祭りで漁師らが奉納するボンボコ舞が披露された。

 新湊漁協などは今年、1月の震災で海底に仕掛けていた漁具が流されるなどの被害を受けた。さらに、シロエビ漁は水揚げ量が前年比で数%にとどまる記録的な不漁となっており、ベニズワイガニや万葉かれいなど海底に生息する魚介類の水揚げも大幅に減少している。漁師にとって厳しい状態が続いていることから神社総代会が協議し、来年の4月19日にボンボコ祭を実施する方針を決めた。同20日に春季例大祭を行う。

 祭りでは、神社の御神体を御座船(神輿船)に乗せて海上まで運び、神事が執り行われる。花を添えるボンボコ舞は金色の冠や漆黒の鬼面を着けた舞人(まいにん)が船上で繰り広げる。独特の囃子の音色に合わせ、釣り竿に見立てた弓で左右一回ずつ、釣りの仕草をし、魔を払うために矢を放つ。

 西宮雅人宮司は「久しぶりのボンボコ祭となるが、無事に行えるよう準備を進めたい」と述べた。総代会長を務める漁師の鷲北英司さんは「大漁を願い、同時にボンボコ舞を後世に受け継いでいくためにも成功させたい」と話した。

 ★ボンボコ祭(ぼんぼこまつり) 1580(天正8)年に始まったとされる奇祭で富山県無形民俗文化財に指定されている。名称は祭りの囃子の音色が「ボンボコ」と聞こえることに由来するとされる。社殿神事が西宮神社で営まれ、ご神体を御座船に乗せ、海上神事に移る。漁場である本江沖、伏木沖、新湊沖の3カ所で神事を行い、漁師の安全と大漁を祈願する。

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