国立大工学部生のスプリンター「時の人に」 男子100メートルであの桐生も破る 世界リレー代表の広島大4年山本匠真選手 五輪切符の可能性も

布勢スプリント男子100メートルでゴール後、ユニホームの「広島大」をアピールする山本

 広島陸上界の「時の人」だ。男子100メートルの山本匠真選手(広島大)は、2日にあった布勢スプリントの予選で10秒16の自己ベストをマーク。国内トップ選手たちと争った決勝でも2位に入り、桐生たち実力者に先着した。5月には世界リレー大会の代表に選ばれるなど注目度は急上昇。「全然メンタルが追いついてない」と苦笑する21歳から目が離せない。

 広島・国泰寺高出身。3年時の2020年は新型コロナウイルスの影響で大会のほとんどが中止になり、2年時に出した10秒98が自己ベストだった。入学した広島大では「続けるつもりはなかったけど、見学に行ってみたら思ったより楽しいし、陸上が好きなんだと思えた。もうちょっと続けてみようかなと思ってやってみたら、どんどんのめり込んじゃいました」と笑顔を見せる。

 大学では練習メニューを自ら組み立てたり、レース映像を分析したりして「理論立てて練習できるようになった」。食事管理で体重も約5キロ増えて68キロになり、出力が上がった。2年時には自己ベストを10秒64とし、3年時の日本学生対校選手権の準決勝で10秒32をマーク。決勝でも3位に入って表彰台に上がった。

 工学部の4年生。卒業論文と大学院入試が控える多忙な日々にも「自分がやりたくてやっていることなので責任を持ってやっていく」と口にする。レースの前後では胸の「広島大学」をさかんにアピールし、「普通の国立の工学部の大学生でも、頑張れば戦えるというのは、今後自分が結果を出すことで証明できると思う。僕を見て、自分でもいけるんじゃないかというアスリートが増えていけばすごくうれしい」。パリ五輪切符が懸かる6月末の日本選手権(新潟)でも快走への期待が高まる。

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