「日本人だから日本株に投資」はナンセンスでしかない…積立も一括も「S&P500」一択と言い切れるワケ【投資アドバイザーが解説】

(※写真はイメージです/PIXTA)

何に投資するかは投資家次第。その選択によって将来の資産も変わってきます。しかし「日本人なのだから」という理由で日本株を選択するのはおすすめできないといいます。『知識も時間もないですが、新NISAでほったらかし投資よりお金を増やしたいです』(KADOKAWA)から、著者の〈投資塾ゆう〉氏が、その理由を解説します。

アメリカの株式市場は他の投資対象を圧倒

私が提唱する「▲5%ルール投資法」は、S&P500が週間ベース(前週の金曜日の終値から今週の金曜日の終値)で5%以上下落したら買うという投資法です。これに「積み立て投資」を組み合わせて運用する方法をおすすめしています。

私は5%シグナル点灯時の一括投資も積み立て投資も、世界で最も重要な株価指数である「S&P500」に連動する金融商品が最適だと考えています。

S&P500は、ニューヨーク証券取引所とナスダックに上場している銘柄から、時価総額や流動性、四半期連続で黒字利益を維持しているなどといった条件にもとづいて選定された500社で構成される指数です。

四半期に一度、銘柄入れ換えが検討されており、こうした条件に適合しなくなった投資対象はS&P500一択でOK企業があれば入れ換えられることになります。このため、もし対象企業の中に赤字の企業が出てしまったとしても、こうした銘柄をはじき出してくれるので、知らない間に赤字銘柄に投資し続けてしまう心配がありません。

そもそも、日本をはじめ世界各国の株式市場は、すべてアメリカの株式市場に影響を受けた値動きをしています。程度の差はあっても、米国株が下がればどの国の株式市場も下がりやすくなりますし、米国株が上がれば他の国の市場も上がりやすくなるのです。

要するに、どの国の株式市場や個別株に投資をする場合も、米国株の動きは必ずウォッチしておかなければならないほど、アメリカの株式市場は重要な存在なのです。

そして何より、アメリカの株式市場は長期的なパフォーマンスにおいても、他の投資対象を圧倒しています。各国の株式市場の値動きを比較したチャートを見れば、その強さは明らかです(図表1)。

[図表1]日・米・英・中の代表的な株価指数

身近だからと日本株にこだわるのはナンセンス

日本人なのだから身近な日本株に投資をしたい、という人もいるかもしれません。しかし、パフォーマンスを見る限り、その考えに合理性はあるとはいえません。さらにいえば、投資は自分の感情にもとづいた判断をするとだいたい失敗します。外国の株は怖いから日本の株にという考えは、感情的な発想以外の何物でもありません。

ちなみに、世界で2番目に運用資産が大きい機関投資家である「ノルウェー政府年金基金」は、資金の約7割を株式で運用しています。そのうち最も大きな割合を占めるのが米国株で、47%にも上ります。

これに対し、日本の株が全体の株式に占める割合は、株全体の7%に過ぎません。もちろん、ノルウェー国民の大切な年金を運用しているからといって、ほとんどを自国であるノルウェーの株で運用している、なんてこともありません。

ちなみに、ノルウェー政府年金基金を上回る世界最大の機関投資家は、日本の年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)です。GPIFは年金資産の半分を株式で運用しており、株式の半分を日本株が占めています。

この配分の背景にはさまざまな事情はあるのでしょうが、日本国民の年金資産を最大化させることを優先するなら、こうした配分にはならないはずなのです。

個別株投資をするのであれば、情報を集めたり分析がしやすい日本株に軍配が上がることもあるでしょうが、▲5%ルール投資法は市場全体に投資するインデックス投資なので、そもそも個別企業の情報収集や分析をする必要がありません。

個人投資家が海外の株に投資をすることが難しかった時代ならいざ知らず、スマホをタップするだけで海外の資産にリアルタイムかつ低コストで投資をすることが可能になっている今、身近だからという理由で日本株にこだわるのはナンセンスだといえます。

投資塾ゆう

投資アドバイザー

※本記事は『知識も時間もないですが、新NISAでほったらかし投資よりお金を増やしたいです』(KADOKAWA)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。また、投資による結果に編集部は一切責任を負いません。投資に関する決定は、自らの判断と責任により行っていただきますようお願いいたします。

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