交通事故でトラックと正面衝突 命は助かるも、寝たきりになり…4年半後、自分の足で立つことができた理由を聞いた

車いすライバーという存在を知っていますか?
“ライバー”とは、スマホやパソコンを使ってライブ配信をする人のことをいいます。

PocochaやTikTok、YouTubeで動画配信をしている佐藤聖菜(@seina.0606)さん。321ライバー事務所に所属し、レッスンをうけたり、事務所主催のイベントに出たりと、車いすアイドルとしても活動を始めました。

この記事ではそんな聖菜さんが車いすライバー兼アイドルになろうと思った経緯と、これからの活動について話を聞きました。

突然の事故で寝たきりに

事故が起きたのは聖菜さんが21歳のときでした。友人の車に乗っていたとき、トラックと正面衝突。命は助かりましたが、聖菜さんは頸椎損傷により回復後も胸から下に麻痺が残ってしまいます。

車いすユーザーになった当初は「リハビリをがんばれば、いずれ治るだろうと思っていた」と話す聖菜さん。しかし、実際は座るだけでも血圧が低下してしまうため、ベッドから起き上がるのも大変だったといいます。

リハビリに励む聖菜さん

長い時間をベッドの上と車いすで過ごす中で「どうしてこんな思いをしなければならないのが自分なんだろう」「これからどれだけがんばったらいいんだろう」と考え、自分の身に起きたことを受け入れるには時間がかかりました。

一時は「いっそこのままでもいいのではないか」と考えたこともあったようですが、ある人との出会いをきっかけに聖菜さんは自分が目指す場所を見つけます。

こんな人になりたい!そう思えた出会い

聖菜さんが影響をうけ、車いすライバーとして活動を始めるきっかけとなった人物がいました。

仮面女子というグループで活動している『猪狩ともか』さんです。

猪狩さんはアイドルとして活動していた2018年。歩道を歩いていた際に強風によって倒れてきた木製の案内板の下敷きになり、緊急手術をうけました。

術後、頸椎損傷による両肢完全麻痺の診断を自身のブログで公表。リハビリに励み、事故から約4ヶ月後に一部のアイドル活動を再開しています。

聖菜さんは猪狩さんに憧れて事務所に入り、車いすライバー兼アイドルになりました。ライバーとしての活動は今年の4月で3年目、たくさんの人にやる気と勇気を与えたいと日々活動しています。

できることをひとつでも多く増やしたい

「できることをたくさん増やしていくこと」を目標に現在もリハビリに励み、事故から4年半後の昨年(2023年)、装具と医療関係者の介助ありで、自分の足で地面に立つことができました。

4年ぶりに自分の身長を感じた

4年間、ベッドの上や車いすに乗った状態での景色に見慣れていた聖菜さんは、自分の身長を久々に感じることができ、感動したといいます。

車いすアイドル・ライバーとして

あきらめず夢をかなえた聖菜さん

車いすアイドルになろうと決意した聖菜さん。ダンスレッスンは主に都内で行われているため、行けないときはオンラインでレッスンしてもらうこともあるそうです。
活動を始めるにあたって自分自身の体力面や、車いす移動のときに迷惑をかけてしまうこと、腕にも麻痺があるのでみんなと同じ振り付けで踊れないことなど、さまざまな不安がありました。

しかし、周りのスタッフと話し合いを重ね、工夫したり支えてもらいながら、その感謝の気持ちをファンやリスナーへ返していこうと活動しています。

聖菜さんを支えているのはスタッフやメンバーだけではありません。

聖菜さんが配信中に上手くいかず、悔しさで泣いてしまったことがありました。いたたまれなくなって配信を中断してしまった聖菜さんですが、そのとき聞いていたリスナーの方が真剣に思いを伝えてくれ「聖菜は聖菜だから、大丈夫だよ」と言ってくれました。その言葉に、ありのままの自分でいようと思ったと聖菜さんは話します。

聖菜さんが「誰かのために、みんなを笑顔にできるように」と日々がんばる姿が、周囲の人たちを巻きこんであたたかい関係が出来上がっているのでしょうね。

車いすアイドル・ライバーSEiNAのこれから

今後の活動について聖菜さんは「みなさんの目にとまるような、インパクトのある活動をしていきたい」「自分の今までを番組やメディアで伝えていき、あきらめなければ絶対に夢は叶う。聖菜ができてるから自分もやればできるって、見た人に自信を持ってもらえるように発信していきたい」そう力強く語ってくれました。

周りの人やファン、リスナーの一人一人に寄り添った発信をしている聖菜さん。

先日、アイドルとして事務所のグループに所属することが決定し、ますます活躍する機会が増えそうです。これからもたくさんの方に勇気を与え、笑顔を届けてくれることでしょう。

ほ・とせなNEWS編集部

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