西郷真央は悩みに悩む「今の技術じゃ…」 不満のスタッツとやりたいゴルフ

初日4アンダー発進。西郷真央の理想は高く(撮影/村上航)

◇米国女子◇ショップライトLPGAクラシック by Acer 初日(7日)◇シービュー ベイコース(ニュージャージー州)◇6190yd(パー71)

開始2ホール目で西郷真央は“洗礼”を浴びた。2m弱のパーパットがライン上で揺れるようにカップの右に逸れていく。「出球は完ぺきだったのが3回くらい跳ねて…。3回跳ねたらさすがにしょうがない」。時間が経つにつれて、元気に育つポアナ芝のグリーン。事前練習から覚悟していた難敵にさっそくしてやられた。

すぐに3番(パー5)で3打目のアプローチを寄せてバーディ。この日はもうひとつ、バウンスバックがあった。10番で逆目のフェアウェイから放った第2打がフライヤーしてグリーンの奥へ。下りのパーパットを外した直後、11番(パー3)で6Iでのティショットをピンそば20㎝に付けてバーディ。「10番を記憶から消すことができた」と、その後さらに3つバーディを奪った。「67」は4アンダー17位で午前組の2日目を迎えられる。

予選ラウンドを米ツアーの先輩・西村優菜と同組でプレー(撮影/村上航)

ルーキーイヤーはメジャー2試合を含む9試合を消化。第1回のリシャッフル(優先順位の入れ替え)を無難にクリアし、年間ポイントレースは57位にいる。来季のシード獲得圏内で推移しながら、西郷は「中途半端な順位でずっとやっている感じがある」と不満そうだ。

「自分の技術を部門分けすると平均点がバラバラだと感じるんです。ショットが良い割にアプローチがあまり良くない」。平均スコア「71.03」はツアー全体で20位。その源はアイアンショットで、パーオン率は全体8位の78.81%を誇る。だから、足を引っ張っているのがショートゲームと言わざるを得ない。平均パット「30.2」は100位と低迷している。

「アイアンショットの技術レベルに他のものが付いてきてくれたら、もっと簡単にスコアメークできると思うし、攻めたゴルフができると思うのに」。米国の優れた練習環境のおかげもあって、ウェッジショットの向上を実感している。

アイアンショットの力は米ツアーでも上位(撮影/村上航)

それでも「『今の自分のアプローチじゃ…』と思うと、なかなかピンをデッドに狙えなかったり、セーフティに打つしかなくなってしまう」と、いつも堂々とフェアウェイをかっ歩しているようで、弱点を認めた自分と闘ってばかり。「それ以上にパッティングの技術が…。日本ほどグリーンがきれいではないせいもあるけれど、なんか成長している感じが正直、ない」と苦笑いして明かした。

「いかにグリーン周りの平均点を上げて、ショットで気持ちよく狙えるか。でも、パットは結果論もすごく大きいので、プロセスとしてできるか(問題を洗い出せるか)が難しい。うまい人がたくさんいるからいろんなことを学びたい」。言い出したらきりがないほど山積する課題。それらを口にする22歳の顔は、不思議と明るい。(ニュージャージー州ギャロウェイ/桂川洋一)

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