3児の母・杏、撮影現場で子供たちと川遊び 主演映画での“かくしごと”告白

撮影現場での“かくしごと”を明かした杏

俳優のが8日、テアトル新宿で行われた主演映画『かくしごと』(全国公開中)の公開記念舞台あいさつに出席。3児の母である杏は、衝撃的な映画の撮影の合間で、自身の子供たちと川遊びをしていたというほっこりエピソードを明かした。この日は中須翔真奥田瑛二、メガホンを取った関根光才監督も来場した。

北國浩二の原作小説を映画化した本作は、事故で記憶を失った少年と出会った女性が、虐待を受けている疑いのある彼を守ろうと、母親と偽って一緒に暮らし始めるさまを描き出すミステリードラマ。満席となった客席を見渡した杏は、感慨深げな様子で「いよいよ初日を迎えることができて、万感の思いであります」とあいさつ。映画上映後に登場した関根監督も、“うそ”がもたらす衝撃的な結末を目の当たりにした観客の姿を前に「うるんでいる方もいらっしゃるように思います」と感激した様子だった。

撮影はおよそ2年前に行われたが、その2年という年月で、中須の身長はグングン伸びていったという。スクリーンの中とは違う成長した姿を見た観客に対して「皆さん、ビックリしたんじゃないですか?」と笑ってみせた杏。中須も「10センチ伸びて、大きくなりました」とハキハキした声で返答。そのやり取りで会場は大いに沸いた。

法に触れるうそをついてまでも少年を守ろうとする主人公・千紗子という役柄について「本当に強い女性だなと思いました」という杏は、「いろんなものをねじ伏せて、正しいと思ったこと、やりたいと思ったこと。少年を守りたいという思いで、社会の通年や法律とかも全部ひっくり返してやってのけたところが、衝撃のラストになったと思います。でも、自分だったらブレーキがかかっちゃうだろうなと想像していたので、自分としては映画で思い切りできたのは、ある意味、自分でも胸のすくところではあります」と振り返った。

映画の撮影から2年という時が過ぎて、「中須くんもそうだし、奥田さんとも、今回の宣伝だったり、こういった舞台あいさつでご一緒して、はじめてちゃんと話せたような気がします」と振り返った杏。「それは自然光で撮るということで、日に追われて撮っていたということもあって、あまりおしゃべりする時間がなかった。奥田さんは(父親の)孝蔵さんだったので、(撮影中は)こんなに背中が伸びてなかったし、グッと背中をまるめていたので。カメラがまわっていない時もそうだったので、今回初めてわきあいあいとお話できたなと思いました」と明かした。

一方、認知症をわずらい、日に日に衰えていく父親の姿を圧倒的な演技で体現した奥田は「はじめての役柄でしたので、どうしたら孝蔵という男に(近づけるか)。孝蔵はどういう出自の男なのか暗中模索をしました」と述懐。そこで北陸の方にある施設に行き、そこの人たちと仲良くなり、食事を一緒にしていくうえで、彼らの様子を観察し、自分なりに咀嚼しながら役づくりを行った。「撮影の何日も前から、うちのカミさんが『もう役をやってるの?』と驚くくらい。覚えてないですけど、そういう状況でした」と明かすと、「だから今日はカッコよくしてきました」と笑ってみせた。

イベントでは、映画のタイトルにちなんで「今だから言える“かくしごと”」という質問も。杏は「川遊びのシーンのあと、本当に子供たちと川遊びをしていた」と回答。「一応、長野ロケも自分の子どもたちと一緒に行ってはいたんですが、中身が中身だし、自分の気持ち的にも、スケジュール的にも子供たちが現場に来られるのがその日しかなかったんです」と振り返り、「確か移動などのために時間があったと思うんです。だから川遊びの楽しいシーンを撮ったあと、自分は自分で川っぺりでピクニックをして遊んでいました」と告白。そこには関根監督も顔を出したそうで、「一緒に話をしたりしてました」と笑顔で述懐。つかの間の楽しい時間を過ごしたようだ。(取材・文:壬生智裕)

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