特急やくも381系ラストランまで1週間 全国の撮り鉄集結 「聖地」鳥取・日野町沿線、自治体や有志が受け入れ準備

14日に定期運行を終了する国鉄色の381系車両=鳥取県日野町津地

 新型車両の導入に続いて旧型「381系車両」の引退を控える特急やくも(岡山-出雲市駅)に、利用客や鉄道愛好家からの注目が集まっている。4月の新型導入から1カ月間の1日当たり利用者数は、前年同期比で26%増加。また沿線では、旧型の最後の活躍を写真に収めようとする「撮り鉄」も増えている。

 JR西日本中国統括本部よると、新型車両を導入した4月6日から25日までは岡山-出雲市の15往復中6往復、大型連休期間の同26日から5月6日は8往復が新型車両。この間のやくも全体の利用者は1日当たり前年同期比で26%増の3300人で、山陰支社の佐伯祥一支社長は「間違いなく新型の効果」と話す。

 さらに、1982年から42年間活躍し、14、15日で定期運行を終了する381系車両は線路外から熱い視線が注がれる。定期運行する車両としては最後の「旧国鉄型特急」で、沿線の撮影スポットには全国から撮り鉄が集まっている。

 撮影条件が良い場所が集中することから「聖地」とされる、鳥取県日野町のJR伯備線黒坂-根雨駅間の通称「ネウクロ」区間には、多くの愛好家がカメラを並べる。

 路上駐車や私有地への侵入など、地元住民に悪影響が出ないよう、自治体や住民有志が受け入れ態勢を構築する。

 日野町は3月末、撮影スポット近くに2カ所計40台分の無料駐車場を整備。県が用意したものも含め約90台分を確保した。381系のラストラン以降も、20台分の駐車場を当面の間設けるとしている。

 有志でつくる「美しい伯備線に出会うまちの会」は5月、撮影スポット18カ所に、周囲の田畑への立ち入り禁止を呼びかける看板を設置。英語も併記するとともに、食事やトイレ休憩ができる場所の情報をQRコードで示した。

 エリアを明確化することで、気持ちよく撮影してもらおうというのが狙いにあり、岡山県倉敷市から撮影に来ていた会社員の男性(48)は「マナーに一層気をつけようと思った」と話した。

 看板を設置したメンバーの一人、自営業久城雅文さん(60)=鳥取県日野町=は「ルールを明示したことでトラブルが減ったと思う。人気が落ち着いてからも来てもらえるよう、取り組みを続けたい」としている。

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