新紙幣の発行まで1カ月…福井県内の小規模店から悲鳴、なぜ? 金融機関で新紙幣手にできるのはいつ

新紙幣対応の券売機導入が難しく、店員が旧紙幣に両替する予定という=5月28日、福井県福井市大願寺2丁目の「中華そば 牟岐縄屋」

 20年ぶりとなる新紙幣の発行が刻々と迫ってきた。福井県内金融機関や企業は機器の改修など対応を急ぐが、小規模店舗からはコストが経営の重しになるといった悲鳴が聞かれる。一方で、業務効率化の好機と捉え、積極投資に踏み切った企業もある。

 新紙幣は7月3日、各金融機関が日銀当座預金から引き出す形で各店舗に届く。日銀金沢支店によると、支払い開始は午前8時。店舗到着以降、窓口やATMを通じて新紙幣が流通する。福井銀行(福井市)の担当者は「どの店舗に何時に届くかは未定」とした上で「全店舗に当日中に届けるのは難しい」との見通しを示す。

 ATMは、福邦銀行との共同機器に更新する際、新紙幣対応機器を導入し、3月までに入れ替えを終えている。窓口では「新紙幣が欲しい人もいれば、旧紙幣が必要という人もいるだろう。どちらのニーズにも対応できるようにしたい」と準備を進めている。

⇒未来に残したい福井県民が愛する老舗・名店を教えて アンケート基に事業承継を支援

 多くの企業がATMやレジ、券売機など機器類の入れ替えや改修を進める中、「中華そば 牟岐縄屋」(福井市大願寺2丁目)の吉田薫店長は「新紙幣導入後も、対応する機器は入れられないだろう」と話す。券売機と両替機が1台ずつあるが「新たな機器は少なくとも券売機が250万円、両替機は150万円かかる。材料費や電気代の値上がりが厳しく、資金繰りも大変で機器への投資は無理」と実情を明かす。

© 株式会社福井新聞社