「悔やんでも悔やみきれない」動物園脱走したカピバラが死亡…支配人が語る「後悔と思い出」

(公式ホームページより)

6月6日に、栃木県日光市柄倉のテーマパーク「おさるランド&アニタウン」から脱走したカピバラが7日朝、近くの駐車場で死骸となって見つかり、ネット上では悲しみの声が広がっている。

死んだ状態で見つかったのは、体長約1メートルの「いろは」(オス)。同園で飼育しているカピバラ4頭のうち1頭で、最近少しお腹をくだしていたため、通常の飼育スペースとは別の飼育スペースに隔離して飼育していたという。同園の支配人である伊畑直樹さんが、脱走から発見までの状況を振り返ってくれた。

「脱走したのは、6日の13時50分頃。飼育ルームは二重扉の檻になっているのですが、飼育員が、外のほうのドアをしっかり閉めない状態のまま中を開けて、外に出てきたカピバラ(いろは)を抑えきれなかったという形ですね。

隣地は私たちの施設よりも広い森でして、途中までスタッフが追いかけていったんですが……やはり森なので藪とかもあって、追いかけきれずに見失ってしまったと。そこから可能な限りのスタッフが外に出て、森の中を捜索しました。警察や、動物愛護センター等、関係機関にも連絡をして、パトカーもぐるぐる回っていただいたんですけど、結局、いろはの姿が確認できないまま日没になってしまいまして……。

翌日7日は朝5時に集合して、どういう形で捜索しようかというときに、新聞配達員さんからカピバラが倒れているという連絡をいただきまして。で、うちの飼育員が現地に向かったところ、そこで亡くなっていたと……。うちの園から直線距離にすると250mぐらいの場所でした。人間でいうと右大腿のあたりに擦り傷があったので、車に跳ねられた可能性も高いようです」

カピバラの寿命は野生で約5~10年、飼育下だと10年以上生きるものもいるという。いろはとの思い出を伊畑さんが語る。

「私は施設の管理をしておりますので、もちろん、いろはとも毎日のように顔を合わせていました。カピバラ自体は、人懐っこくて、みんなかわいいんですよ。おやつなんかあげますと、キュルキュル鳴きながら寄ってきますんで。いろはは今年の8月で3歳でしたが、脱走しなければ、もちろんまだ生きられたでしょうし、体も約1メートルくらいでしたが、まだまだ1.5倍くらいまでは大きくなったと思います。カピバラって結構大きくなるので。

そもそも私どもの施設は、元々はお猿中心にやっていたのですが、ちょうど『いろは』とか猿以外の動物が来た時点で、2022年7月から『おさる&アニタウン』に変わったんです。要は『いろは』は一期生なわけですよ。最初の立ち上げから一緒に過ごしてきましたので、いろはにも申し訳ない気持ちでいっぱいです。

脱走したときは、やっぱり無事で見つかってほしいということと、周りに迷惑をかけないでほしいという2つの思いがありましたけど、こういう結果になってしまってですね……もう悔やんでも悔みきれないですね」

いろはが死んだ状態で見つかったという報道に、Yahoo!ニュースのコメント欄には、

《具合が悪くて一般公開せず、二重扉の中に隔離していたそうですね。最後は自由になりたかったのかなと、思ってしまいました。いろはちゃん今まで皆んなを楽しませてくれてありがとう》

《不注意で逃してしまったようだが、カピバラは足が速いから、外の世界にビックリして走って行ってしまったのかな。それにしてもたった1日で死んでしまうとは…群れから離れさぞ不安だったろう。(中略)天国で温泉に入ってゆっくりしてください。ご冥福をお祈りします》

《最期にお外を見たかったのかな?》

など、悲しみの声が寄せられている。

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