ママ、障がい者、LGBTいろんな人が働く「久遠チョコレート」。食べる人も作る人も幸せになる、こだわり素材のお菓子とは?

近年、多くのメディアで話題の「久遠チョコレート」を知っていますか? 人気なバレンタインイベントで会場上位の売り上げを達成したり、凄腕パティシエとのコラボなど、さまざまな業績で注目を浴びるチョコレートブランドです。

じつは、久遠チョコレートで働くスタッフの約6割は障がい者として国から認定された人。そのほかにも、時間に制限のある母親や引きこもり経験者など、多様な人たちが働いています。

今回は、さまざまな背景を持った人が働く久遠チョコレートの、高品質な素材をふんだんに使って作られるテリーヌや、自分でチョコをコーティングできる体験型のアイスを紹介。実際に働いている人からも話を伺い、ブランドの魅力に迫ります。

客足が絶えない「久遠チョコレート川口店」

今回訪れたのは、埼玉県にある久遠チョコレート川口店。全国の店舗の中でも最大級の規模を誇り、商品を求めに遠方からも多くの人が訪れるお店です。

広い店内の中央に並んでいるのは、久遠チョコレートの看板商品である『QUONテリーヌ』。取材の間にも、どのフレーバーにしようか…とじっくり選びながらテリーヌをかごに入れるお客さんが多数いました。

通販で購入できる商品が多い中、店頭でしか楽しめないカフェメニューにもこだわりが。『至高のアイス』は、自分でアイスキャンディーにチョコレートをコーティングする体験型のスイーツです。

自由に選べる5種類のコーティング用チョコレート

川口店では、アイスキャンディーの味は4種類から、コーティングするチョコレートは5種類から選べるそう。20種類もの組み合わせから、自分の好みにあうものを楽しめます。

今回は店員さんに頼んでチョコレートをつけてもらいました。とろっとしたチョコレートがアイスの外について固まっていく様子は見ているだけでも楽しい光景。

ミルクのアイスキャンディーとストロベリーチョコの組み合わせはとても美味しく、他のパターンも試したくなる味わいでした。

150種類以上のフレーバー。日本各地の素材を使ったこだわりテリーヌ

「スタンダード」シリーズのテリーヌ3種

植物油脂を加えず、添加物を最小限に抑えた“ピュアチョコレート”から作られるQUONテリーヌ。ブランドの代表を務める夏目浩次さんが、一流ホテルや星付きレストランのチョコレートを手掛けるトップショコラティエ・野口和男さんとともに生み出した逸品です。

限定商品を合わせたテリーヌのフレーバー数は、なんと150種類以上。高品質のチョコレート…というと普段は手が出しづらいイメージがあるものの、久遠チョコレートでは、「手軽に楽しめるように」との想いから、1枚300円以下という比較的低めの価格で販売しています。

「ディスカバリー・ジャパン」シリーズのテリーヌ2種(左:北海道クリスピーコーン,右:宇治石臼ほうじ茶「茎茶」)

「ディスカバリー・ジャパン」は、夏目さんをはじめ、久遠チョコレートのスタッフが全国から見つけてきた日本各地の特産品を使ったシリーズ。北海道産とうもろこしに、京都の道明寺粉を焼いたものを合わせた『北海道クリスピーコーン』、手作業で挽いた宇治のほうじ茶を使った『宇治石臼ほうじ茶「茎茶」』など、味が気になるものばかりです。

そのほか、京都の道明寺粉やあられを使った「京テリーヌ」や、ナッツやドライフルーツをたっぷり入れた華やかな見た目の「プレミアムテリーヌ」といった商品も。何度もお店やサイトを訪れたくなるような、魅力あふれるフレーバーがラインアップされています。

「甘い香りがするのが幸せ」多様な人が作るチョコレート

スタッフのYさん

「自分が作ったものが積み上がっていって、お客さんの手に渡るのが嬉しいです」と話すのは、川口店で約1年前から働き始めたYさん。久遠チョコレートで働くまでには、障がいによって希望する道を阻まれた過去がありました。

「学校で医療系の資格を取得したのですが、障がいがネックになって就職できなかったんです。それで1年くらい暇になってしまって、『これからどうしようかな』と悩んでいるときに母が勧めてくれたのが、久遠チョコレートでした。

Yさんも梱包しているQUONテリーヌ

今の仕事は、作業内容がある程度決まっている点が自分に向いていると思いますね。『どうやったらこの作業をもっとうまくできるかな』とか、『効率化するにはどうしたらいいんだろう』とか考えるのが私の性格に合っていると最近気づきました(笑)」

久遠チョコレートの好きなところは? と尋ねると、Yさんから一層笑みがこぼれます。

「工房に入ると、まずチョコレートの香りがするんですよね。そのにおいをかぐと、幸せな気分になります。

あとは、皆さん親切にしてくださったり、丁寧に教えてくれるので、楽しく過ごせています。この先のことはあまり決めていませんが、チョコレートの製造に携わるなかで、自分と社会とのつながりを見つけていきたいです」

久遠の袋を掲げて、街を歩く

スタッフの上督さん

過去にも製菓系の作業所で働いていたという上督(うえがみ)さんは、お店に来た経緯を「以前働いていた場所が移転することになり、新しい職場を探していました。ここに惹かれたきっかけは、お菓子を作るときに無駄が出ないことを知ったことですね」と回答。

「みんなと切磋琢磨していろんなチョコレートを作っていくのが楽しいです」と、工房での日々を話します。

右:取材日に作っていた「QUONフルーツ」,左:人気の「QUON orangette」

「工房と売り場の間がガラス張りになっているので、お客さんが来て商品を手に取ってくれるとわかるんですよね。そのチョコレートが自分の作ったものかどうかはわかりませんが、商品がカゴに入れられていく様子を見ると嬉しくなります。

店内の見える工房

あとは、友人や家族に商品をプレゼントしたときに『美味しい』って言ってもらえるのがとても嬉しいです。ブランドの存在を知ってもらって、多くの人に買ってもらいたい気持ちがありますね。

宣伝活動も兼ねて、ロゴが書かれた袋をわざと上に掲げて歩いたりもしています(笑)」

障がいを抱えた人もそうでない人も、みんながフラットに関わり、美味しいお菓子作りを追求していたチョコレート店。QUONフルーツの甘酸っぱい味わいには、いろんな経験を経て働く人たちの力強さを感じました。

About Shop
久遠チョコレート 川口店
埼玉県川口市安行藤八315
営業時間:10:30-19:30
定休日:火曜日
公式Instagram:@quonkawaguchi

三月

ウフ。編集スタッフ

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カスタードとお固めのパンが特に好きな148cm。ライター出身、ワクワクしながらメディアを作ってます。毎日おいしいものに出会えて幸せです。

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