「気象病を世の中に浸透させよう」スマホアプリ「頭痛ーる」開発プロジェクト秘話を紹介

気圧の変化で頭痛などの症状が生じる

天気が悪いと体調が悪くなる人は少なくない。頭痛がしたり古傷が痛んだりするのだが、それは気圧が関係していることが判明しつつある。気圧の変化による体調不良をチェックし予防に役立てるアプリも登場している。その開発の経緯を聞いた。

【気圧の変化が体調不良を引き起こす――あなたの頭痛は気象病?】

頭痛に悩んでいる人は多いが、原因はさまざまだ。中でも、台風が近づくと頭痛がしたり、天気が悪くなると調子が悪くなったりする人は少なくない。

頭痛は、気圧のせいで症状が起こることもあるのが分かっている。低気圧頭痛の専門家で医学博士の舟久保恵美氏は「気圧の変化で心身がストレスを受け、頭痛の症状が強く出る人もいるのではないでしょうか」と『しんどい低気圧とのつきあいかた』(新潮社刊)という本の中で分析している。

我々の普段の生活の中でも約15トンの気圧が自身にかかっている。このため、気圧の変化が原因のひとつとなって頭痛、気分の落ち込みやだるさ、肩こり、めまいなど、さまざまな不調を引き起こすことが最近の研究で判明してきた。こうした天気の変化で症状が出ることは、一般的に「気象病」とも呼ばれる。

天気の変化で症状に影響が及ぼされるのは、例えば、頭痛、腰痛、だるさ、気分の落ち込み、歯痛、関節痛、めまい、肩こり、動悸、耳鳴り、自律神経失調症、低血圧、うつ、ぜんそく、神経痛、メニエール、心血管疾患、線維筋痛症、眠気、リウマチ、狭心症、血栓症、心臓不調、集中力不足、腹痛、高血圧症、低血圧症などだとされている。

【気象病は迷信だと思われていた!? あまり知られていなかった気象病】

ところで、現在では一般的になった「気象病」という言葉だが、10年ほど前にはあまり知られていなかった。当時は、頭痛に悩む人が「雨が降ると頭痛がする」と言うと「それは気のせいじゃない」と軽くあしらわれたり、時には「迷信だ」と言われることさえあったようだ。

そんな状況を変え、気象病を一般的にしたのは「頭痛ーる」というスマホアプリだといわれている。「頭痛ーる」は、簡単に言えば気圧の変化による体調不良が起こりそうな時間帯の確認や、痛み・服薬記録をすることによって気象病対策に役立てることができるアプリだ。

開発したのはコールセンターなどアウトソーシングサービスを手掛けるベルシステム24(東京都港区)である。

同社のサービスデザイナーの安中朋哉氏によれば、「ウェブ上の『お天気.com』の提供などのため当社には気象予報士が数名在籍するのですが、その中の1人は学生時代に気象と頭痛の関係を研究していました。その経験を生かして、気象と頭痛などの症状の関係を見える化するアプリ開発プロジェクトに、2012年に取り組んだのです」とのこと。当時は気象病という言葉も一般に知られていなかったので、「気象病を世の中に浸透させよう」というのがプロジェクトメンバーの合言葉だったという。翌13年にリリースすると「頭痛ーる」は好評で、気圧と体調変化に関係があることが一般に理解されたのはこのアプリの影響が大きいとされる。

次回はアプリ「頭痛ーる」がどんなものかを詳しく紹介しよう。

© 株式会社東京スポーツ新聞社