[高校生のバイク通学] バイク通学は許可制で実施。業界団体による講習に加えて教師による点検/声かけも

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神奈川県でバイク通学を許可している県立津久井高等学校。その背景と理由、安全運転への取り組みや課題とは? 前回記事は2020年度にバイク通学を解禁した背景と通学環境について紹介した。第2回ではバイク通学の許可条件や講習/点検等への取り組みについて尋ねた。

●文:ヤングマシン編集部(田中淳麿)

【神奈川県立津久井高校 熊坂和也校長(右)/舟久保健人教諭(左)】着任7年目の熊坂校長は、自身がスーパーカブで通勤することもあり、生徒の通学事情や点検/メンテナンスにも詳しい。バイク通学担当の舟久保先生は、硬式野球部の顧問でもある(※以降、敬称略)。

バイク通学の条件と講習

――バイク通学をしている生徒は何人ぐらいいるのでしょうか?

舟久保:定時制を除けば26名です。

――神奈川県には三ない運動がなく、高校生でも免許を取れますが、バイク通学を始めるにはどうしたらいいのでしょうか。

舟久保:説明会に参加した生徒で条件を満たしていれば、バイク通学の申請ができます。説明会は1年間に3回行っていて、第1回は夏休みの前に行い、夏休み明けにバイク通学の許可願い/誓約書/免許証の写し/自賠責保険証と任意保険証の写しといった書類を提出してもらいます。年度明けにも提出してもらうことで、再度確認をしています。1年生だと、早くて夏休み明けからバイク通学ができます。

――任意保険は義務でしょうか。

舟久保:義務です。親御さんの自動車保険のファミリーバイク特約に入る生徒が多いですね。

――バイク通学の条件について教えてください。

舟久保:車両については、改造していないクラス(原付一種)のみを許可していて、学校指定のステッカーを貼ることになっています。本校としてはスクータータイプを勧めていますが、ギヤ付きタイプで来ている生徒も数人います。生徒の居住地にも条件があり、相模原市緑区外(学校は緑区内)と藤野や青根など、交通の便が少ない地区に限定しています。ただし、緑区内でもバスを乗り継がないと通学できないような生徒には、校長先生の判断で許可しています。

――一番遠くから通っている生徒で片道何kmぐらいになりますか。

舟久保:淵野辺や矢部(ともに中央区)、小渕(緑区)あたりから通っている生徒は、15〜16kmになります。上り下りのあるけっこう激しいルートです。

――バイク通学時の服装に決まりはありますか?

舟久保:ヘルメットはジェット型かフルフェイス型に指定されていて、半キャップ(半帽)は禁止です。服装については、制服に手袋(グローブ)ですが、寒ければその上に防寒着を着るようにという指示です。

座学/実技講習/点検を実施

――講習について教えてください。

舟久保:まず、説明会の後に行う座学講習会があります。2022年度までは我々が資料を作って行っていましたが、2023年度からは神奈川県二輪車普及安全協会の方に来ていただいて講演を30分ほど、また生徒に車両に乗ってきてもらって、各部の点検をしながら、注意点についても計1時間ほどの講習をお願いしています。

安全運転実技講習については、年に一度、12月の半ばに行っています。バイク通学開始後の3年間は、近くの私立大学の駐車場をお借りして、津久井警察署と白バイ隊員の方に教えていただきましたが、その場所が使えなくなり、2022年からは橋本(緑区)にある自動車教習所で2時間ほどの実技講習をしていただいています。バイク通学をしている生徒は、全員自分のバイクで来場して受講します。

舟久保:また、2か月に一度、職員が車両の点検を実施しています。タイヤの溝がないとか目で見てわかる不備があった場合は、必ず直してから乗るようにと指導しています。

熊坂:点検は2か月に一度ですが、バイク置き場が校長室の目の前なので、よく覗いて回り「ここを直して」ということはこまめに言います。バイク通学は命に関わることなので、車両の状態やバイク通学生徒の学校生活などは、できるだけ見るように、声をかけるようにしています。私自身がバイクに乗るので、走行中にヒヤッとした場面があったら、バイク通学の生徒を集めてもらって「昨日こんなことがあったから、みんなも気を付けて」ということはずいぶん言ってきましたね。(次号に続く)

マグナ50に乗る2年生の加藤さん。お父さんがライダーで、メンテナンスもしてくれるそうだ。最近引っ越しをして、八王子(東京都)からバイクで通っている。
バイク通学の車両に貼られている津久井高校のステッカー。

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※掲載内容は取材時点(2023年12月)のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。

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