キヤノンの大口径広角レンズ「RF35mm F1.4 L VCM」ハンズオンレポート

By 柴田 誠

キヤノンは、大口径広角レンズ「RF35mm F1.4 L VCM」を2024年7月上旬に発売する。価格はオープンで、キヤノンオンラインショップの販売価格は253,000円 (税込)。2024年6月7日に開催された発表会で触ることができたので、同時発表の「スピードライト EL-10」なども含めてレポートする。

RF35mm F1.4 L VCM

目次

  • RF35mm F1.4 L VCM
  • スピードライト EL-10
  • シネマカメラ&シネマレンズ

機動性に優れた小型軽量の大口径広角レンズ「RF35mm F1.4 L VCM」

EOS R6 Mark II 装着時

「RF35mm F1.4 L VCM」は、EFマウントの「EF35mm F1.4L II USM」(2015年9月発売) と同等以上の高画質を実現しながら、質量約555gを実現。約760gだった「EF35mm F1.4L II USM」から約27%の大幅な軽量化を果たした。全長は約105.5mmから約 99.3mmに短縮されている。

左が「EF35mm F1.4L II USM」、右が「RF35mm F1.4 L VCM」。全長が短く、鏡筒もスリムになっている。開放F値は同じF1.4だが、前玉の大きさがかなり違う。

非球面レンズとUDレンズ各2枚ずつを効果的に配置した11群14枚のレンズ構成で、諸収差を低減。画面全域で高画質を達成するとともに、小型・軽量化にも大きく貢献している。開放F1.4による大きく美しいボケ味を生かした表現が可能だ。最短撮影距離は0.28m、最大撮影倍率は0.18倍。フィルター径は67mm。

マウント側にもシートタイプのフィルターを装着できる「リアフィルターホルダー」を同梱する。マウント部にはゴムリングを備えている。

鏡筒には「フォーカスモードスイッチ」「レンズファンクションボタン」「アイリスリングロック解除スイッチ」が配置されている。

■駆動系に2種類のモーターを採用

重量のある大口径レンズの駆動には、「VCM (ボイスコイルモーター)」と「ナノUSM (超音波モーター)」を組み合わせた電子式フローティングフォーカス制御が採用されている。さらに「EOS R」シリーズのデュアルピクセル CMOS AFとのコンビネーションにより、高速・高精度なAFで静かで滑らかなピント合わせを実現する。動画撮影時は、フォーカス操作によって生じる画角変動 (フォーカスブリージング) を徹底的に抑制した光学設計により、画角変化の少ない安定した構図での撮影を実現する。

■アイリスリングの搭載などで高い操作性を実現

動画撮影時に絞り値の変更ができる「アイリス (絞り) リング」を搭載したことで、シネマレンズに近いクリック感のない操作で、ボケ味や露出の調整を直感的にコントロールできる。なお、静止画撮影時にはアイリスリングによる絞りの調整はできない。開発発表済みの「EOS R1」以降の機種で対応予定とのことだ。

鏡筒前部の「コントロールリング」にはシャッター速度、ISO感度、露出補正などの割り当てが可能。その手前にある「フォーカスリング」は、対応カメラの設定で「コントロールリング」としてカスタマイズすることが可能になっている。

※「EOS R」「EOS RP」「EOS Ra」「EOS R5C」「EOS R6」を除く機種に対応。

[マウント] キヤノンRFマウント [画角] 水平54°00’、垂直38°00’、対角線63°00’ [レンズ構成] 11群14枚 [絞り羽根枚数] 11枚 [最小絞り] F16 [最短撮影距離] 0.28m [最大撮影倍率] 0.18倍 [フィルター径] φ67mm (前部) ※後部にシートタイプのフィルターを装着可能 [最大径×長さ] φ約76.5×99.3mm [質量] 約555g

マルチアクセサリーシュー対応のエントリーストロボ「スピードライト EL-10」

最大ガイドナンバー40のエントリーユーザー向けストロボ「スピードライト EL-10」は、2024年6月28日発売。価格はオープンで、キヤノンオンラインショップの販売価格は43,450円 (税込)。

■エントリーモデルながら充実の基本性能

ストロボ光の照射⾓は、焦点距離24-105mmの画角をカバー。内蔵のワイドパネル使用時は焦点距離14mmに対応する。発光部は上90°、左150°、右180°まで可動し、バウンス撮影が可能。電波通信によるワイヤレスストロボ撮影や多灯撮影、ハイスピードシンクロ撮影にも対応する。バッテリーは汎用性の高い単3形アルカリ乾電池4本を採用。連続フル発光可能回数は「430EX III-RT」(2015年10月発売) の約1.7倍となる約55回を実現し、発光後のチャージ時間は最大約2.5秒を達成している。

背面の操作部

■EOS R システムとの連携による快適操作

通信機能を備えた「マルチアクセサリーシュー」を搭載するEOS Rシステムのミラーレスカメラ用として開発されており、事前にカメラと本製品を連携しておけば、カメラの撮影モードに連動して発光モードが自動で切り替わる。また、「メニューダイレクト」機能の搭載により、ワンクリックでカメラの画面にストロボのメニュー設定を呼び出すことが可能。さらに、任意のストロボ設定を3つのカスタム発光モード (C1 / C2 / C3) に登録することもできる。

※一部機種はカメラのファームアップ (2024年6月公開予定) が必要。なお「EOS R3」「EOS R7」「EOS R10」では、「FEメモリー」機能などの一部機能は使用できない。

6Kフルサイズセンサーを搭載したRFマウントのデジタルシネマカメラ「EOS C400」

RFマウントを採用したデジタルシネマカメラ「EOS C400」は、2024年9月上旬発売予定。価格はオープンで、キヤノンオンラインショップでの販売予定価格は137万円程度 (税込)。

RFマウントのショートフランジバックにより、奥行きを短縮。EFマウントの「EOS C500 Mark II」のよりもひと回り小型化された印象で、質量も約1750gから1540gに軽量化されている。

従来は拡張ユニットが必要だったが、「EOS C400」では背面や側面に多くの端子が装備されている。

別売のマウントアダプターを使えば、EFレンズの使用が可能だ。「マウントアダプター PL-RF」(2024年9月上旬発売予定) を使えば、PLレンズも使用できる。

シネマレンズ「CN7×17 KAS T/R1」「CN7×17 KAS T/P1」

RFマウントのシネマレンズ「CN7×17 KAS T/R1」とPLマウントの「CN7×17 KAS T/P1」も同時に発表された。いずれも発売は2024年10月上旬で、価格はオープン。キヤノンオンラインショップでの販売予定価格は385万円 (税込)。8Kカメラに対応する光学性能を実現する。

ズーミング、絞り、フォーカスのコントロールができる新ドライブユニットを装着した状態。

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