全中規模縮小「生徒たちの立場になって考えると、残念な話だ」 教員の負担軽減に理解も 島根県の関係者

島根県中学校総合体育大会の新体操団体で演技する選手たち=2019年7月14日、松江市学園南1丁目、市総合体育館

 日本中学校体育連盟(日本中体連)が全国中学校体育大会(全中)の水泳、体操といった一部競技を2027年度から実施しないことを決めた。島根県内の競技関係者からは、教員の負担軽減や少子化への対応の観点から理解を示しつつも生徒たちのモチベーション低下を危惧する声が聞かれた。

 日本中体連が競技取りやめを含めた規模縮小に踏み切る要因の一つとして教員の負担軽減が挙げられる。

 島根県教育委員会が23年に小中高校などの教職員を対象に行った調査によると、中学校の教職員がワーク・ライフ・バランスを阻害する要因に挙げた項目のうち、「部活動に係る業務」が15.4%を占め、「学習指導・学習内容の対応」(13.0%)などを上回りトップになった。

 同県中体連の吉田真生理事長は、教員の働き方改革を進めながら大会を継続させようとする日本中体連の判断は致し方ないとした上で「(取りやめの)対象競技の生徒たちの立場になって考えると、残念な話だ」と話した。

 少子化による部員数の減少も判断材料になった。日本中体連の調査によると、13~15歳の運動部加盟人数は09年度の約233万人から、18年度には約200万人に減った。スポーツ庁は48年度には約148万人まで減少すると推計。各地で廃部や縮小が進み、これまでのような活動を維持するのは難しいとみられている。

 27年度から実施しないことが決まった水泳の島根県内の中学生競技人口も年々減少しており、現在は約200人。その中でも全中は部活動に取り組む生徒にとって大きな目標となっており、県中体連の竹田雄一水泳競技専門委員長は「(取りやめになった後)全国を目標とする子どもたちのモチベーションをどう維持するか考えないといけない」と思案した。

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