中国雲南省・吉岔遺跡で冶金南伝ルートの新たな証拠を発見

中国雲南省・吉岔遺跡で冶金南伝ルートの新たな証拠を発見

吉岔遺跡の冶金遺構と出土遺物。(資料写真、昆明=新華社配信)

 【新華社昆明6月9日】中国の西南部山地と東南アジア大陸部の冶金の起源は学術界で長年議論されてきたが、研究者はこのほど、雲南省にある吉岔遺跡の研究を通じ、冶金技術が紀元前1600~同1200年に青蔵高原東麓の山岳回廊を経由して雲貴高原と東南アジア大陸部に伝わった可能性があることを発見した。研究成果は考古学の国際学術誌「Antiquity(アンティクイティー)」に掲載された。

 吉岔遺跡は雲南省デチェン・チベット族自治州維西リス族自治県にあり、同省文物考古研究所が四川大学考古文博学院など複数の機関と共同で発掘、研究した。

 西南部山地と東南アジア大陸部の冶金の起源については学界界で主に二つの見解があり、一つは紀元前2000~同1800年に南シベリア地域から中国西北部、青蔵高原東麓の山岳回廊を経て伝わったとする「山岳ルート」、もう一つは紀元前1100~同1000年に中原地域(黄河中下流の平原地帯)の商王朝から東部沿海地域を経て伝わったとする「沿海ルート」となる。

中国雲南省・吉岔遺跡で冶金南伝ルートの新たな証拠を発見

雲南省維西リス族自治県の吉岔遺跡。(資料写真、昆明=新華社配信)

 研究者は問題解明に向けた研究を続け、吉岔遺跡で重要な進展を得た。論文の共著者、雲南省文物考古研究所の胡長城(こ・ちょうじょう)副研究員によると、新石器時代後期~鉄器時代初期の集落遺跡の発掘で冶金生産エリアを発見。土坑炉が複数見つかり、るつぼやスラグなどが出土した。特に第2期遺構(紀元前1600~同1200年)で出土した西北地域の青銅時代の黒彩彩陶は、同地域の初期青銅器時代の重要な年代指標となった。

 吉岔遺跡で見つかった楕円(だえん)型の石錘(せきすい)、土坑炉、屈曲型ふいごなどの冶金遺物は、中国・ベトナム国境地帯にある竜脖河(りゅうほつが)遺跡(雲南省金平ミャオ族ヤオ族ダイ族自治県)の出土品と合致度が高く、特に土坑炉で顕著で、両遺跡の冶金技術体系が同一であり、共通の起源を持つことを再び証明した。研究チームはこれらの認識に基づき、冶金技術は紀元前1600~同1200年に青蔵高原東麓の山岳回廊を経由して雲貴高原と東南アジア大陸部に伝わった可能性があると考えた。

 専門家は、吉岔遺跡が横断山脈の奥地、瀾滄江沿岸に位置し、整った年代序列と生産設備を持つ「山岳ルート」の重要な結節点だったと指摘。今回の研究は西南部山地、東南アジア大陸部の冶金の起源と技術体系の研究に新たな知見をもたらしたと語った。(記者/許万虎、厳勇)

© 新華社