千葉県内、自動車盗に歯止めかからず 全国ワーストの昨年上回るペース 県警が新対策、トヨタ車カーナビ通じ注意喚起

カーナビに表示される「お知らせ」。自動車盗の対策を呼びかける(千葉県警提供)

 自動車盗に歯止めがかからない。千葉県警生活安全総務課によると、県内で今年確認された自動車盗の被害件数は、4月末時点で272件(暫定値)。前年同期比で72件増加した。年間746件に上って全国ワーストだった昨年を上回るペースだ。相次ぐ自動車盗を食い止めようと、県警はトヨタのカーナビを活用した新たな対策に乗り出した。

 県内などでトヨタ車を販売する「トヨタ勝又グループ」と協力し、トヨタのカーナビの通信サポートシステム「T-Connect」で運転者に直接、情報を発信する。被害に遭った約6割が盗難対策をしていなかったことも踏まえ、同課の担当者は「運転者に直接働きかけることによって、対策の必要性を意識付けたい」と話す。

 同システムは契約者に対して、車検やメンテナンスの通知などの配信機能があるサービス。スマートフォンで、ドアのこじ開けなどの危険を検知した通知や車の位置情報を確認できる。このシステムの「販売店からのお知らせ機能」を利用し、自動車盗の被害発生状況や対策方法も知らせる。

 同グループの勝又自動車によると、このシステムを使い、県内の約6万台に通知を出せるという。同社の奈良輪和之総務部長は「車を通して地域に貢献したいという社長の強い思いもあり実現した」と話す。

 今回、県警がトヨタ車に絞った対策をした理由は被害に遭う車の多くがトヨタ車だからだ。昨年の746件を被害車種別でみると、上位5車種がアルファード、ランドクルーザーなどトヨタ車で、トヨタ車が被害全体の5割以上を占める。

 市原市では5月、自営業の男性=同市=がトヨタの高級車「レクサスLX」を盗まれる被害に遭っている。男性はハンドルロックやペダルロックといった対策をしていたが、盗まれた。

 県警捜査3課の担当者によると「盗まれた車が戻ってくるのはまれ」だという。車の制御システムに接続し、車外から操作する機器「CANインベーター」を使い、1分で車を持ち去るケースもあり、犯行時間は極めて短い。対策として「複数の対策を組み合わせ、盗みにくい、時間がかかると思わせることが大切。アラームが鳴る盗難警報装置も効果的」と念を押す。

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