2位ロッテと7ゲーム差の独走状態も ソフトバンク小久保監督がチームに求める凡事徹底

和田(左)に降板を告げる小久保監督(撮影・冨永豊)

◆日本生命セ・パ交流戦 DeNA8―5ソフトバンク(9日、横浜)

走者を置いての一発は、やはりデカい。それが満塁弾ともなれば効果は絶大だ。そんな一発が初回から相手に出た。しかも、確率的には珍しい先頭から4人目の打者、要するに「4番打者」にだ。

先発の和田は1死も奪うことなくいきなり4点を失ってしまった。これで試合の主導権を完全に握られた。打線は7回までに2点差まで詰め寄る反撃を見せたが、直後の守りで今度は5番筒香に3ランを許した。1試合で満塁弾と3ランを同時に食らっていては、さすがに勝機が遠のくのも無理はない。

とはいうものの、名古屋、横浜と続いた今週の敵地6連戦はいずれも2勝1敗と勝ち越した。貯金はすでに20の大台に達しており、2位ロッテには7ゲーム差をつけての独走状態にある。交流戦も20勝4敗1分けと圧倒的な強さを誇るホームでの6連戦(対ヤクルト、阪神)を残すのみ。5年ぶりの交流戦頂点も視界に捉えている状況だ。

もちろん、油断は大敵だ。だからこそ、小久保監督は〝動いた〟。この日の練習開始前、指揮官はナインを前に「隙を見せての敗戦は何より悔いが残る」といった凡事徹底の重要性を説き、チームを引き締め直した。

発端は8日の一戦にあった。今季は主に1番を任せる周東が投ゴロに倒れた際、相手一塁手が送球を捕球ミスしたことに気付かずフェアグラウンドからベンチへ戻ろうとし、アウトとなった。試合後は名指しこそしなかったが、チームに生まれた隙に「あり得ないプレー」と語気を強めて指摘していた。勝利を収めた試合後だというのにだ。

そんな流れもあって、小久保監督は同じミスを繰り返させてはならぬと訓示した。さらに一塁を駆け抜けた際はファウルグラウンド側からベンチへ戻ることもチームの決定事項として加えることを伝えた。基本中の基本ではあるものの、その〝教え〟を選手はこの日の試合で徹底していた。

「タイミング的にはよかったのかもね」。野球にミスは付きものだが、チーム状況などすべてを勘案しての思いが言葉となってあらわれた。「勝利の女神は細部に宿る」をモットーとする指揮官が選手に求めるものは、一貫している。(石田泰隆)

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