「大きな驚きではない」過去最速での契約延長を勝ち取った角田裕毅に対する各国メディアの反応は!?

F1第9戦のカナダ・グランプリに臨んでいるビザ・キャッシュアップ・RB(以下RB)の角田裕毅が、2025年も同チームに残留することが6月8日、予選直前に発表された。

今季、第8戦モナコGPを終えた段階で5回の入賞を飾り、19ポイントを獲得してドライバーランキング10位につけるなど、躍進を遂げている24歳の日本人ドライバーに対しては、各方面から賛辞が寄せられ、その去就に注目が集まり、複数のチームが新天地候補として挙げられていた。

角田はチームの公式サイト等を通して、「RBに残ることができて、とても嬉しいです。今年の早い段階で将来が決まったのは、良い気分です。(中略)チームには大きな開発プロジェクトがあり、その一員でいられることに興奮しています。僕の努力を評価し、信頼してくれているのは素晴らしいことです。今季、チームはすでに明確な進歩を遂げており、それが僕にとっても大きなモチベーションとなっています。今後も最高のパフォーマンスを発揮し続けることを約束します」と声明を発表している。
トロロッソ、アルファタウリ時代を含め、同チームの歴史において最長5シーズン目を迎える初のドライバーとなった角田。過去3年の契約延長発表日を振り返ると、2021年は9月7日、2022年は9月22日、2023年は9月23日と、いずれもシーズン後半戦に入ってからだったが、それが3か月も早まったことは、彼の今季の仕事ぶりがいかに優れたものであるかの証明と言えよう。

RBのローラン・メキーズ代表からも「彼の天性のスピードに疑いの余地はなく、今はより成熟したアプローチが加わっている。この組み合わせにより、彼は非常に速く、安定したパフォーマーであり、素晴らしいチームプレーヤーになった」と賛辞を贈られた角田について、F1公式サイト『F1.com』も注目し、以下のように伝えている。

「角田は直近の6戦中5戦で入賞し、RBの全24ポイントのうち19ポイントを獲得。ドライバーズランキング10位は、チームが6番目に良いチームであることを考えれば、大した成果だ。彼は今季、本当に飛躍を遂げた。一貫性に欠けた昨季とは異なり、今季は最初のセッションからペースに乗り、その週末を通して自信を築けるような、強化されたレース前の準備が功を奏している。そして、この点はRBの上層部にも認識されている」 この件を世界中のメディアが報じているが、フランスのスポーツ紙『L’EQUIPE』は「これは明日の移籍市場を揺るがすようなニュースではない」と、至極当然のことであると捉えているようであり、スポーツ専門放送局『EUROSPORT』も「この日本人ドライバーはここ数か月で大きな進歩を遂げていただけに、これは大きな驚きではない」、フランスのモータースポーツ専門サイト『AUTO hebdo』は「当然ながら、角田がRBと契約延長」と綴り、「発表が予選の直前だったことは少々驚きだ」と付け加えた。

『AUTO hebdo』はまた、「これは公然の秘密でも何でもなかった。角田はRBで冒険を続けることになり、チームはこの強力な選手を留めるために契約のオプションを活用した。ピエール・ガスリー(アルピーヌ)の“偉大な友人”は、レッドブルでマックス・フェルスタッペンのチームメイトになるという希望を抱きながら、“ジュニアチーム”で5シーズン目を迎える。来季に向けて“椅子取りゲーム”でそのひとつを維持したことには、角田も満足だろう」とも綴っている。

オランダのF1専門サイト『RN365』は、このところ大きな話題となったストーブリーグにおける出来事に関連付け、「このニュースは、レッドブルが向こう2年間、セルジオ・ペレスを信頼し続けることを選択したことで、レッドブルで走るという角田の野望が潰えてからわずか数日後に伝えられた。にもかかわらず、彼は喜びを表わした」と報じた。
一方、スポーツ専門サイト『sportskeeda』は、「ハース、アルピーヌ、アストンマーティンとの“繋がり”があったにもかかわらず、この24歳はもう1年RBに留まる。この1年間は、彼をシニアチーム(レッドブル)に昇格させるか、あるいは2026年にホンダと提携するアストンマーティンに移籍させるかを決定するものとなるため、依然として興味深い」と、来季以降の彼の動向にも関心を示している。

そして、多くのメディアは角田のRB残留を伝える上で、彼のチームメイトが誰になるかが未定であることにも言及。現在のダニエル・リカルドがここまで結果が振るわないことを指摘し(カナダGP予選は5番手と健闘したが)、スポーツ専門チャンネル『ESPN』は「角田の残留が、まだ来季の契約が確定していないリカルドにさらなるプレッシャーをかけることになる」と記し、英国のモータースポーツ専門サイト『THE RACE』は「角田の将来は保証されるに値するものだが、リカルドのそれは違う」と厳しく評し、こう結論付けた。

「このオーストラリア人ドライバーは、RBに留まれるかどうかを心配する必要がある。彼のパフォーマンスがパッとしないままであればあるほど、リアム・ローソンの脅威が増す。角田の新たな契約が成立したことで、もはやカットされる対象はリカルドだけということである」

構成●THE DIGEST編集部

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