ファイナル初戦で大敗したマブズ。3度の優勝を誇るグリーンはアービングの奮起に期待「7ゲームシリーズで、あれがずっと続くことはないだろう」<DUNKSHOOT>

現地時間6月6日に幕を開けたNBAファイナル2024。米スポーツ専門局『ESPN』は、開幕前に記者やコメンテーター計17名による勝敗およびファイナルMVPの予想を公開した。

優勝予想は、ダラス・マーベリックスが9人、ボストン・セルティックスが8人で、ファイナルMVP予想では8人がジェイソン・テイタム(セルティックス)、7人がルカ・ドンチッチ、2人がカイリー・アービング(いずれもマブズ)という結果。5戦以内の決着を予想した人物はおらず、10人が第6戦、7人が最終第7戦までもつれるというものだった。

もっとも、ボストンのTDガーデンで行なわれたシリーズ初戦は107-89でセルティックスがマブズに圧勝。今後のシリーズの進行具合によっては、専門家たちの予想が覆る可能性もある。

そうしたなか、試合後にゴールデンステイト・ウォリアーズのドレイモンド・グリーンがポッドキャスト番組『The Draymond Green Show』の最新エピソードを公開し、ダニー・グリーン(現無所属/以下グリーン)がゲストで登場した。

プレーオフ通算169試合に出場した経験を持つ36歳のベテランは、これまでファイナルの大舞台に4度も立ち、2014年(サンアントニオ・スパーズ)、2019年(トロント・ラプターズ)、2020年(ロサンゼルス・レイカーズ)と3度の優勝実績を誇る。
セルティックスに先手を取られたことで、9日(日本時間10日)の第2戦に向けて大掛かりな修正を余儀なくされたマブズだが、グリーンはこのシリーズが一方的な展開にはならないと見ていた。

「彼ら(セルティックス)にとっては大きな勝利だった。だけどダラスは何かを見つけた。カイ(アービング)は最高のゲームができていなかったし、エナジーがあったとも思えない。それに(クリスタプス)ポルジンギスがあの状態を維持するのも難しいかもしれない」

第1戦で、マブズはドンチッチがフィールドゴール成功率46.2%(12/26)で30得点に10リバウンド、アービングは同31.6%(6/19)で3ポイントは5本すべてをミスし、12得点に終わっていた。

一方、右ふくらはぎの肉離れのため過去10試合を欠場し、4月29日以来初の実戦に臨んだポルジンギスは、ベンチから20分34秒のプレータイムながら20得点、6リバウンド、3ブロックの大活躍で勝利に貢献。

古巣相手に218cmの高さ、持ち前のスキルセットを見せびらかすようにジャンパーやドライビングダンク、3ポイントを決めると、ディフェンスではリムプロテクターとして立ちはだかり、ブロック数以上の存在感を発揮した。 マブズが現状を打破する上でカギを握るのは、ドンチッチとアービングだとグリーンは言う。

「彼ら(セルティックス)はスイッチし、トラップはあまりしなかった。あのチームはそうすることで優位に立とうとしたんだ。ルカはその状況に慣れるために1つのクォーターを要したけど、一度馴染めば何かを掴んでいるようだった。彼なら現在地をよく理解しているさ。あとはカイが慣れないといけない。そうなれば、本当のシリーズが展開されていくだろうね」

第1戦で、セルティックスはドンチッチに対してジェイレン・ブラウン、アービングへドリュー・ホリデーをマッチアップさせた。ブラウンはフィールドゴール成功率66.7%(4/6)の8得点を与えるもアシストは許さず、2本のターンオーバーを誘発。ホリデーはアービングを同40.0%(2/5)の4得点に封じた。
加えて注目は38歳のアル・ホーフォード。206cmのビッグマンは、スイッチでガードデュオとのマッチアップを迎えても堂々と立ち向かい、ドンチッチを同12.5%(1/8)、アービングも同40.0%(2/5)に封じる好守を見せていた。

ただ、シリーズはどちらかが先に4勝するまで終わらない。グリーンは、ドンチッチとアービングならこの状況から脱却すると今後の展望を述べた。

「今日は(セルティックスが)序盤から機能していた。ジェイレン・ブラウンが出だしから素晴らしいディフェンスをしていたし、アル・ホーフォードもショットをコンテストし、ブロックショットを決めていた。でも7ゲームシリーズで、あれがずっと続いていくことはないだろうね。ホーフォードがカイとルカへスイッチして、今後も上手くいくことはないと思う」

シリーズはまだ1試合が終わったばかり。マブズが巻き返すことは十分可能だけに、どのようにしてやり返していくか必見だ。

文●秋山裕之(フリーライター)

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