【号外】鹿沼市長に松井氏 新人対決 小林氏下す 8190票差、「市民党」前面

 任期満了に伴う鹿沼市長選は9日、投票が行われ、即日開票の結果、無所属新人で前県議の団体職員松井正一(まついしょういち)氏(58)が、同、元県議の歯科医師小林幹夫(こばやしみきお)氏(70)=自民、公明推薦=を8190票差で破り初当選した。松井氏は「市民が主役の政治」などを訴え、一騎打ちの激戦を制した。小林氏は「刷新」を主張したが及ばなかった。投票率は52.72%で前回の55.59%を2.87ポイント下回った。

 午後9時半ごろ、松井氏の同市上殿町の選挙事務所に当選確実の報が届くと支持者から歓声と拍手が湧き起こった。松井氏は満面の笑みで応援を受けた市議11人や佐藤信(さとうしん)市長、福田昭夫(ふくだあきお)衆院議員らと喜び合った。

 松井氏は立憲民主党を離党して「無所属・市民党」を標榜(ひょうぼう)。「財政規律を守る」としながら「市いちごっこ出産・子育て応援給付金の倍増」などの政策を掲げて、自公支持層や無党派層への浸透を図り、小林氏を退けた。

 松井氏は「大好きな鹿沼市の市民の皆さまのおかげで当選できました。市長に選ばれたこの瞬間から公約の実現に向け、市民の皆さまと共に歩む決意です。本当にありがとうございました」と喜びを爆発させた。

 一方、小林氏は同9時35分ごろ、同市仲町の選挙事務所に姿を現した。自民党の「総力結集」を前面に「国、県との太いパイプ」を訴えたが届かなかった。小林氏は「温かいご支援を受け戦うことができた。当選できなかったのは私の不徳の致すところ。得た票は鹿沼の良識の票だと思っている」と敗戦の弁を述べた。

 小林氏はその後、記者団の取材に応じ「11回選挙をやった。もう表舞台に出ることはないと思う。今後は一兵卒として党のためにしっかり頑張っていく」と政界引退の意向を示した。

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