『ACMA:GAME アクマゲーム』間宮祥太朗と吉川晃司の“親子対決”が決着 物語は劇場版へ

謎の組織「グングニル」のトップである「ガイド」・清司(吉川晃司)と照朝(間宮祥太朗)の親子対決が決着した『ACMA:GAME アクマゲーム』(日本テレビ系)最終話。

そもそも、このトーナメント自体、清司が照朝の実力を試すために仕組んだものだということが明かされた。そして照朝を自身と共に高尚な目的を叶える仲間に加えさせようと、過去との決別を促した。母親の形見のピアス、父親である自分との思い出が詰まった腕時計、そして大切な仲間の命を懸けて自身と対峙させる。だからこそ、これまでも照朝と縁のある人々と戦わせようとしたのだ。

清司も悪魔の鍵を手にした当初は、他の所有者に会いに行き戦うのではなく協力を求めたが、みんな欲望に負け、争いの種になるばかりだったと言う。さらにその欲望は織田グループを率いる清司自身にも向けられ、会社の経営権や資産を奪おうとされ、家族まで危険に晒されかねない状況だったようだ。

そして、今話で明かされたのは、照朝の母親の死の真相だ。事故に巻き込まれて亡くなったと聞かされていたが、実際にはテロリストの襲撃の犠牲になったのだった。信じていた奇跡や希望、期待は消え失せ、絶望だけが残った。

しかし、清司も悪魔の鍵を前に欲望を剥き出しにし、醜態を晒す人々の姿を散々目の当たりにしてきたばかりでなく、部下の崩心(小澤征悦)が実のところ、自身が目指す“争いのない世界”になど一切興味のないことを知りながら、彼を従えるしかなかったなんて、なんだか切ない。

尊敬し、ずっとその背中を追いかけてきた父・清司との決定的な考えの違いを見せつけられ、もはやそれは修正不可能だと悟った照朝が、幸せだった家族との思い出の象徴であるモグモグチョコを食べながら涙を流しながらも戦い続ける。仲間の命と想いを背負いながら。勝ち負けを超えて自分のことを信じてくれる仲間を得られた照朝は、絶望に打ちひしがれているだけの清司よりもやはり強い。

対戦相手とはいえ、清司も照朝がそんな仲間を得て、そして鍵を破壊することで自身と同じく争いのない世を目指そうとしていることが甘っちょろくも感じられる一方、眩しく、そして心強く映ったことだろう。どこか自分が負けて安堵しているところもあり、その運命を受け入れているようにも見えた。「あんたを鍵の呪縛から救ってやる」と言う照朝は、父親との間に横たわる“分かり合えなさ”を超えて、それでも彼を見捨てまいとする優しさが光っていた。

最後の最後、清司は答えを外してしまうものの、かつて奇跡や希望を信じていた自分が確かにいて、その存在が今なお変わらず照朝の中で生き続けていることに安心し、そこにこそ希望を見たのではないだろうか。

カンボジアから始まった本作が、ついにまた舞台をカンボジアに戻し映画化される。壮大なスケールの本作、自宅のテレビで毎週連ドラとして追うよりも、大スクリーンでその世界に没入する方がしっくりきそうな気もする。照朝は今度こそ、争いの元になる全ての悪魔の鍵を破壊できるのか。潜夜(竜星涼)がその旅に同伴することは明かされているが、初(田中樹)や悠季(古川琴音)が次なる展開にどう関わってくるのか楽しみだ。

(文=佳香(かこ))

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