例年より遅れている梅雨入りが専大松戸にプラスに働きそうな理由【持丸修一 76歳名将の高校野球論】

甲子園にも雨天時のプレーは付き物(C)日刊ゲンダイ

【持丸修一 76歳名将の高校野球論】

夏の千葉県大会開幕まで1カ月を切りました。

現時点で各校の実力は拮抗しているため、残りの時間の使い方が命運を分けることになる。さまざまな試合展開を予測し、状況に応じた練習を日々積み重ねています。

夏の千葉県大会は7月6日に始まり、決勝戦は7月27日に行われる予定です。ここで例年と異なる点があります。通常、関東は6月7日ごろに梅雨入りしますが、今年は10日ほど遅れるとのこと。となると、大会の頭から終わりまで、梅雨の真っただ中で開催されることになりそうです。

甲子園切符を懸けて150近いチームが争うトーナメント戦は過密なスケジュールが組まれています。試合当日に雨が降っても容易に延期することはできず、悪条件でのプレーも視野に入れておく必要があるでしょう。

専大松戸には寮がなく、環境面では強豪校に引けを取っていると思われるかもしれませんが(私自身は寮が不要という考えです)、グラウンドの性能は非常に高い。水はけがすこぶる良いため、よほどひどい雨でない限りは練習できます。夏に向けてこれを生かさない手はありません。

私は攻撃において「打てるか否かは運の要素が強い」と考えています。そのため、練習次第で確実に精度を高められるバントと走塁を、今年はこれまでに輪をかけて徹底的に強化していきたいと思っています。

バントも走塁も雨天時では難易度がグッと上がります。バントした球はまともに転がらないし、走塁は足を滑らせるリスクが高まり、スピードも落ちます。悪条件の中でいかに確率を高めるか。それも、「負けたら終わり」というプレッシャーがかかる夏の大会で成功させないといけないわけですから、簡単なことではありません。しかし、逆に言えば、守る側もやりにくいのです。うまく決めることさえできれば、すさまじい破壊力を発揮できることになります。雨天の試合では、これが勝敗を分けることになるかもしれません。

前述の通り、専大松戸のグラウンドは多少の雨ならプレーが可能ですから、雨が降ればそれだけライバル校よりも多くの練習ができるようになる。カウント別、走者の状況別などあらゆる場面ごとにパターンを決め、悪天候下でのプレーの感覚を選手の体に染み込ませる。本番ではその経験が必ず役に立ちます。

大会期間に重なる今年の梅雨は、専大松戸にとって恵みの雨になるかもしれません。

(持丸修一/専修大松戸 野球部監督)

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