米スタンフォード大学関係者が「中国のAIをパクった」と認めて謝罪―香港メディア

米スタンフォード大学(写真)のチームが、中国人科学者によるオープンソースの研究成果を盗用して新たな人工知能モデルとして発表したことを謝罪した。

香港メディアのサウスチャイナ・モーニング・ポスト、中国大陸メディアの参考消息網などは4日から5日にかけて、米スタンフォード大学のチームが、中国人科学者によるオープンソースの研究成果を盗用して新たな人工知能モデルとして発表したことについて謝罪した話題を扱った。

問題となったのは5月29日に発表されたLlama3-V(以下、「L3V」)という人工知能(AI)モデルで、その強力な性能が世界の注目を集めた。開発したのは、スタンフォード大学の学部学生2人と、同大学に所属しない研究者1人から成るチームだった。

チームはL3Vについて、訓練に要した費用はわずか約500ドル(約7万8000円)で、GPT-4Vなどの先端AIモデルに匹敵する性能を獲得したと主張した。同モデルはその強大な能力が注目され、発表直後に、人気AIプラットフォームトレンドランキングのトップ5に入った。

しかしAI分野の関係者はすぐに、L3Vはその大きな部分において、清華大学のチームとスタートアップ企業の面壁智能が共同開発したAIモデルのMiniCPM-Llama3-V 2.5モデルを盗用した疑いがあると指摘した。

面壁智能の創業者の一人は6月4日付のSNSへの投稿で、L3VはMiniCPM-Llama3-V 2.5のコピーであることを「かなり確信している」、「ミスのある部分までが同じだ」と表明した。事実、オープンソース・プラットフォームのGitHubに投稿された双方のモデル構造とコードがほぼ同じであることを示している。

L3Vの開発に参加したスタンフォード大学の学生2人はその後、L3VがMiniCPM-Llama3-V 2.5に「極めて類似している」ことを認め、「オリジナルの作者に心から謝罪したい」と表明した。また、L3Vを撤去することも明らかにした。

スタンフォード大学人工知能研究所のクリストファー・マニング所長は4日、SNSのXに「『捏造(ねつぞう)して成功を得る』はシリコンバレーの不名誉な産物だ」と投稿した。

同件は中国のAIの進歩に関するより広範な議論をもたらすことになった。グーグル系のAI開発会社であるディープマインドに所属する研究者のルーカス・バイル氏はXを通じて、MiniCPM-Llama3-V2.5という優秀なAIモデルはすでに存在していたと指摘し、「ただし注目されることは実に少なかった。なぜなら、アイビーリーグからもたらされたのではなく、中国の研究室に由来するものだったからだ」と指摘した。(翻訳・編集/如月隼人)

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