ブラジル中銀総裁、依然として高い市場のインフレ見通しを懸念

[サンパウロ/ブラジリア 7日 ロイター] - ブラジル中央銀行のロベルト・カンポス・ネト総裁は7日、サンパウロで開かれたイベントで、同国の物価は足元で鈍化しているにもかかわらず、金融市場が依然として高いインフレを予想していることを懸念していると表明した。

カンポス・ネト総裁は、市場のインフレ見通しを押し上げている「ノイズ」が時間の経過とともに解消されて、中銀が好ましいと考える方向に動いていくと考えられると述べた。

総裁は、5月の金融政策委員会で中銀は、ブラジルにおいて実際のインフレ指標と市場の見通しが「大きく乖離している」理由や海外動向を理解するため、今後の政策措置について示唆することを差し控えたと説明。5月の米雇用統計が予想外に強い内容となって米連邦準備理事会(FRB)が早期に金融緩和に踏み切るとの観測が後退したことを受け、総裁はブラジルでは統計と金融政策運営との間にメカニカルな関係はないと強調した。

ブラジルのインフレ率は5月半ば時点で3.7%と中銀目標の3%を上回ったが、目標レンジの1.5─4.5%の中に収まった。一方で中銀の民間エコノミスト調査ではインフレ率の見通しが引き上げられ、インフレ率は今年が3.88%、来年が3.77%、2026年が3.60%と予想されている。

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