【J2「前半戦終了」】清水、乾と北川のホットライン開通で勝利し首位ターンに成功 後半戦の課題は“内弁慶”か(1)

FW北川航也の決勝点をアシストした乾貴士  撮影/中地拓也

■清水はシーズン2度目の3バックでスタート

「超攻撃的」が首位ターンだ。

J2リーグ第19節が6月8、9日に開催され、8日、首位の清水エスパルスは10位の藤枝MYFCをホームに迎えた。今シーズン最初のナイトゲームである。

清水は3-4-2-1でスタートした。試合開始から3バックで戦うのは、14節のザスパ群馬戦に続いて2試合目だ。3-4-2-1の相手に合わせて、ミラーゲームを選んだのである。試合後の秋葉監督は、「強度やアプローチのスピードを出すため」と説明した。

守備時は5-4-1のブロックをしく相手に対して、清水はブロックの内側と外側でボールを動かしながら、相手の陣形と目線をズラす作業をしていく。右CBの原輝綺が内側のレーンへ入り込んでビルドアップに関わるため、攻から守へ切り替わる場面で右サイドにスペースが生まれる。藤枝がそのスペースを狙ってくることを見越して、CB高橋祐治とCB住吉ジェラニレショーンがアラートな状態を保っていった。

35分には相手GKのキックミスを誘い、2シャドーの一角に入ったルーカス・ブラガが左足シュートで相手GKを脅かす。攻守の切り替わりで相手が陣形を整える前にフィニッシュへ持っていくのは、攻撃の狙いのひとつだっただろう。前半のアディショナルタイムにも際どいシーンを作り出した清水は、合計7本のシュートを浴びせた。相手には1本しか打たせていない。しかし、0対0でハーフタイムを迎えることとなった。

■乾―北川のホットラインで決勝弾!!

後半開始とともに、清水は攻撃のギアをさらに一段あげた。開始早々の46分、MF乾貴士のパスから右ウイングバック北爪健吾がペナルティエリ内右から決定的な一撃を浴びせる。その後も52分に北爪のクロスを乾がフィニッシュへつなげたが、右足のシュートはバーをかすめるように枠を逸れていく。

秋葉監督が動いたのは64分だった。ルーカス・ブラガを下げてFWドウグラス・タンキを投入する。ドウグラス・タンキが最前線に立ち、FW北川航也が2シャドーの右へポジションを移す。

選手交代から3分後、IAIスタジアム日本平が熱狂に包まれる。左サイドでパスを受けた乾が、ゴール前へ走り込む北川へラストパスを通す。ペナルティエリ内右でシュート態勢を整えた背番号23は、落ち着いてゴール左隅へ流し込んだ。

藤枝がGKのキックをきっかけに重心を前へ移しかけたところで、清水はパスカットしたボールを素早く乾へつなげた。相手が守備陣形を整える前に、攻め切ったのである。北川はシーズン9ゴール目だ。

秋葉監督は77分と86分に2枚替えを行ない、最後は4-4-2へシステムを変えて逃げ切りをはかる。後半も相手のシュートを2本に抑え、際どい一撃はGK権田修一が高い集中力で弾き出す。1対0のまま試合をクローズさせた清水は2試合ぶりの勝利をつかみ、前半戦を首位で折り返すことに成功した。19節終了時点の勝点43は、昨シーズンのJ2を制したFC町田ゼルビアを上回る好ペースだ。

清水は12日に天皇杯2回戦を消化し、その後は愛媛FC、ブラウブリッツ秋田とのアウェイゲームが続く。リーグ戦の4敗はすべて敵地で喫しているが、秋葉監督は「色々なアイディアもある。工夫してやっていきたい」と話す。後半戦の序盤でつまずかないためにも、重要な連戦となる。

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