注意!「定額減税に還付金はありません」 島根・鳥取で詐欺電話、297万円被害も 5月中旬以降相次ぐ 県警「『払い戻しある』は疑って」

定額減税の還付金をかたる特殊詐欺への注意を呼びかけるリーフレット

 1人4万円の定額減税に便乗した還付金詐欺の電話が山陰両県で確認されている。5月下旬には松江市内の60代女性が、現金約300万円をだまし取られた。減税しきれなかった人への給付金はあるが、ATMを使った払い戻しはない。島根、鳥取両県警は「定額減税に『還付金』はない」と注意を呼びかけている。

 島根県警によると、定額減税の還付金名目の特殊詐欺被害は5月中旬以降、県内各地で相次いでいる。件数は集計中だが、被害額は1件あたり十数万円から数百万円に上るという。

 297万円をだまし取られた松江市内の60代女性は5月24日、松江税務署の職員を名乗る男から「定額減税の手続きの書類は届いているか」「納税超過の還付がある」と電話を受けた。利用している金融機関名を聞かれ、手続きに必要という番号をメモした。

 続いて金融機関の職員を名乗る男に「返納支払いをするためにキャッシュコーナーで書類作成が必要」と指示され、ATMでキャッシュカードを挿入し、番号を入力。「直ちにカードを使うと申請手続きがブロックされる」と言われたため、数日たった後で女性が通帳を確認すると入金はなく、現金が他人口座に振り込まれていた。

 鳥取県内にも同様の電話がかかっている。県警によると5月31日、県東部在住の60代女性宅に鳥取税務署の生活減税課を名乗る人物から「あなたに3万2325円がお返しできる」と電話があり、取引している銀行名を聞き出そうとしてきた。「生活減税課」は実在せず、不審に思った女性が警察に相談した。

 定額減税は所得税と住民税で1人につき計4万円が控除される。年間の納税額が少なく、世帯全員分の減税額を差し引けない場合は市町村が給付金の案内を郵送する。国税庁は「税務署や市町村がメールや電話で銀行の口座情報を聞き、ATMを操作させることは一切ない」としている。

 還付金詐欺の多くは官公庁を名乗り、払い戻し手続きとしてATMを操作させる。島根県警生活安全部の大国智之調査官は、始まったばかりの制度にかこつけた悪質な手口とし「払い戻しがあるとの電話は詐欺を疑ってほしい」と話した。

© 山陰中央新報社