日航ジャンボ機事故の教訓を継承 「御巣鷹の尾根」で有志11人が登山道を整備 群馬県警藤岡署 

丸太を運ぶ署員

 1985年8月に起きた日航ジャンボ機墜落事故の現場「御巣鷹の尾根」(群馬県上野村楢原)で8日、県警藤岡署の署員有志11人が登山道を整備した。作業後には尾根を回り、事故当時の状況などへの理解を深めた。

 尾根の管理人、黒沢完一さん(81)の指導の下、署員は長さ3~4メートルの丸太約15本を数人がかりで2時間かけて運んだ。初めて尾根を訪れたという警備課の寺田有輝巡査長(26)は「道のないところを駆け上がって救助した当時の大変さを実感した」と話した。

 作業後、署員は頂上付近の「昇魂之碑」の前で手を合わせた。黒沢さんや事故当時を知る署員から、尾根の案内や当時の現場の様子について説明を受けた。

 事故現場で遺体の捜索などに携わった地域課の女屋進巡査部長(58)は当時の経験や感じた思いを胸に刻み、長く県警の山岳救助業務を担ってきた。尾根に来ると、当時の記憶がよみがえる恐怖心もあるというが「人命の大切さや、群馬でこんなにも大きな事故があったことを、若手に伝承しなければならない」と力を込めた。

 有志による登山道の整備は、管内で起きた事故について継承しようと、2年前から、業務外で取り組んでいる。

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