多胡碑の保存修理事業を写真で 作業の様子、珍しい光景も 7月7日まで群馬・高崎市で展示会

多胡碑の保存修理の記録写真が並ぶ展示

 国連教育科学文化機関(ユネスコ)の「世界の記憶」に登録されている上野三碑の一つ、多胡碑(群馬県高崎市吉井町池)の保存修理事業を記録写真で伝える展示会が7月7日まで、同市の多胡碑記念館で開かれている。補修のため碑上部から取り外された笠石の底面や、笠石で隠れていた碑の上面など、普段は見られない珍しい光景を写真で伝えている。

 「未来に託す多胡の古碑―平成・令和の保存修理写真展―」と題し、市教委が2017年度と昨年度に実施した二つの保存修理事業を取り上げた。

 昨年度は、笠石と碑身の間に緩衝材を挟み、碑の上面全体で笠石の重みを受け止めるようにした。少なくとも250年前から二つに割れていた笠石の割れ目を目立たなくし、前後逆向きだった笠石の向きを180度回転させた。

 記録写真では、笠石をつり上げて取り外す様子や、半分に割れた笠石の片方を碑身の上に置いて養生材を詰める作業を紹介。碑身上部の凸部「ホゾ」や、笠石の底面に開いた四角い穴「ホゾ穴」を見ることができる。笠石に付着していた土を取り除いたところ、表面に赤い色味が出てきたことなども伝えている。

 同館の岡村友理香さん(41)は「笠石の色味や加工の跡など今まで注目されなかった部分の状態が明らかになった。想像をかき立てられる」と語る。

 写真のほか修理に使った材料や、少なくとも江戸時代以降に複数回変わっている笠石の向きの変遷を伝えるパネル、笠石が割れていることが分かる一番古い記録「俳諧多胡碑集」(1774年)の絵図などもある。

 別室では、多胡碑の六つの複製に焦点を当てたコーナーを設け、原物やどの複製からかたどったかが分かる系図も紹介している。

 午前9時半~午後5時。月曜休館。入館無料。

多胡碑の複製の型

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