【パリ五輪】最終予選決勝でドンチッチvsヤニスの対決も!?出場残り4枠を懸けた熾烈な戦いに臨むNBAスターたち<DUNKSHOOT>

パリ五輪の開幕まで1か月半。男子の5人制バスケットボールは、出場12か国中8チームが決まっており、残り4チームは7月2~7日の世界最終予選で決することとなる。

各国とも続々と代表候補を発表しているなかで、ギリシャの地で最終予選に臨むスロベニアは、ルカ・ドンチッチ(ダラス・マーベリックス)の名前も16人のリストに含まれている。

「フレッシュな選手もいれば、疲れている選手もいるだろう。しかし、我々はすでにこうした状況は経験している。そのなかで最適なバランスを見つけて、チームを機能させられることを願っている」と、アレクサンダー・セクリッチHCは前向きにコメントしている。

ドンチッチは現在、NBAファイナルを戦っている真っ最中で、最速でも6月14日、最終第7戦までもつれ込んだ場合は6月23日までシーズンが続く。最終予選が始まる7月2日までわずかな休息しか取れない過酷なスケジュールだが、代表活動には並々ならぬ情熱を注ぐ彼のことだから、ファイナルの結果がどうであれ、祖国の重要な戦いに馳せ参じることだろう。

ギリシャ会場グループAのスロベニアは、クロアチア、ニュージーランドと対戦し、そこで上位2チームに入れば、ギリシャ、ドミニカ共和国、エジプトの勝ち上がりチームと準決勝、決勝を戦うことになる。
各会場で1チームしか五輪出場権を手にできない険しい戦いのなかで、最大の壁になりそうなのが地元開催のギリシャだ。今予選でギリシャ代表を率いるのは、同国ではもちろんのこと、欧州バスケ界のレジェンドであるヴァシリス・スパノーリス。この予選は、彼が代表ヘッドコーチに就任して最初のビッグマッチとなる。

その重要な戦いに、大黒柱のヤニス・アテトクンボ(ミルウォーキー・バックス)が参戦することを、スパノーリスはすでに公言している。ギリシャ会場の最終予選決勝では、ドンチッチvsヤニスのスーパースターバトルが見られるかもしれない。

なお、ギリシャ会場の予選を勝ち抜けたチームは、パリの五輪本戦ではオーストラリア、カナダ、スペイン会場の予選勝者と同じグループAに属することになる。 一方、地元ラトビア会場で最終予選に挑むラトビア代表は、ドンチッチと同じくNBAファイナル出場中のクリスタプス・ポルジンギス(ボストン・セルティックス)の名前が24人の候補メンバーにリストアップされている。

ダービス・ベルターンス(シャーロット・ホーネッツ)と兄のダイリスら、昨年のワールドカップで5位と大躍進したメンバーたちも揃い踏みする予定で、1990年のソ連独立後初のオリンピック出場を目指して、ジョージア、フィリピン、ブラジル、カメルーン、モンテネグロとのサバイバルレースに臨む。

このグループを勝ち抜けたチームは、五輪本番のグループB最終戦で日本と対戦するだけに、その動向に注視したい。

プエルトリコ会場で戦うグループでは、リトアニア代表にドマンタス・サボニス(サクラメント・キングス)とヨナス・ヴァランチュナス(ニューオリンズ・ペリカンズ)が招集されている。

サボニス抜きで昨夏のW杯6位と健闘した彼らは、メキシコ、コートジボワールと対戦したあと、イタリア、プエルトリコ、バーレーンの勝者との最終決戦に挑む。W杯8位のイタリア代表には、NBAで今季3チームを渡り歩いたベテランのダニーロ・ガリナーリ(バックス)が候補メンバーに名を連ねており、決勝でリトアニアとぶつかることが濃厚だ。
その他のNBA勢では、昨年のW杯で日本とも対戦したフィンランドのラウリー・マルッカネン(ユタ・ジャズ)が、右肩の負傷を理由に最終予選の欠場を発表。

W杯で大会3位の平均24.8点をマークした絶対的エースは、「代表でプレーするのはいつだって光栄なこと。このシーズン中ずっと、仲間たちとオリンピックに出場できたらどんなに素晴らしいだろうと語り合っていた。とても辛い」とコメントしている。

フィンランドはスペイン会場で、バハマ、ポーランドと対戦。ここで上位2チームに入った場合、レバノン、アンゴラ、スペインの三者から勝ち抜けた猛者と対戦するタフなグループに属している。

特に世界ランキング2位のスペインを倒すのはかなり厳しい道ではあるが、フィンランドは来年のユーロバスケット(欧州選手権)ではホスト国になることが決まっている(4会場のうちのひとつ)。マルッカネンはすでに「その日程は手帳に記入してある」と、母国での大会参加に意欲満々だ。

長いシーズンが終わったばかりだが、夏の間も、NBA戦士の奮闘は続く。

文●小川由紀子

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