「当選すると思ってるほうが不思議」栃木・鹿沼市長選でも与党推薦候補が敗北「選挙連敗記録」更新の岸田政権に「当然」の声

落選が決まり、支持者らにあいさつする自公推薦の小林幹夫氏(写真・共同通信)

「嫌な予感はしていたんです」

自民党衆院議員秘書が意気消沈した声で振り返るのは、6月9日に投開票された栃木県鹿沼市長選だ。前立憲民主党県議の松井正一氏と、前自民県議の小林幹夫氏(自公推薦)の、新人同士による与野党一騎討ちになった結果は、松井氏が2万4600票を獲得、小林氏に8000票あまりの差をつけ当選した。

「鹿沼市は、立憲の福田昭夫衆院議員の選挙区に含まれるので、たしかに小林氏には不利な戦いだったかもしれません。しかし、栃木県は衆院5小選挙区のうち、福田氏が議席を持つ2区以外、すべてが自民の議席。まさに『自民王国』なのです。さらに、5区には同党の茂木敏充幹事長がいます。国政選挙での公認権や資金など、絶大な権限を持つ幹事長の地元でもある栃木県内の市長選で負けたことは、大きな痛手です。小泉進次郎氏も、『前回、下野したとき(2009年)より怖い』と、現状に相当な危機感を持っています」(政治担当記者)

しかも、自民はおもだった選挙で連戦連敗中だ。2023年9月の東京都立川市長選、同年10月の都議補選(立川市選挙区)、同年11月の東京都青梅市長選、さらに2024年2月は、小渕優子選挙対策委員長のお膝元である群馬県前橋市長選でも、自公が推薦した現職が野党系の新人に敗れている。群馬県は福田赳夫氏、中曽根康弘氏、小渕恵三氏、福田康夫氏と、4人の首相を輩出し、衆院小選挙区の1~5区、参院群馬選挙区(定数2)で自民議員が議席を獲得する、圧倒的な“保守王国”である。

「敗北の連鎖はその後もとまりません。4月の衆院島根1区補選、目黒区長選、5月の東京都議補選(目黒区)、5月の小田原市長選や静岡県知事選などでも、自民の推薦候補が次々と敗北しています。また、岸田文雄首相の選挙区、衆院広島1区に編入された広島県府中町長選が5月におこなわれ、首相の長男、翔太郎氏が地元に張りつき話題になったものの、推薦候補が敗れました」(政治ジャーナリスト)

鹿沼市長選の結果を受け、Xでは、

《連敗王岸田 記録更新》

《こんだけ国民を困窮させといて当選すると思っている方が不思議だよ》

《自公連立政権が どれだけ国民に嫌われているか》

《“裏金維持法”を通そうとする裏金脱税自民に対する国民の怒りの結果》

など、「当然の結果」と受けとめる書き込みが多く見受けられた。

国民不在の政治を続ける、自民への逆風は強まるばかりだ。

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