神戸徳洲会病院、新病院開設は2年以上延期か 不適切治療による複数患者死亡で

更地になっている神戸徳洲会病院の新病院開設予定地=垂水区旭が丘2(撮影・長沢伸一)

 神戸市垂水区の神戸徳洲会病院が来年2月に開設予定だった総合病院の整備計画について、昨年に発覚した不適切な治療で複数の患者が死亡した問題を受け、開設まで2年以上の延期が見込まれることが市への取材で分かった。来夏まで有識者会議で医療安全体制の改善状況を確認することが決まり、開設に向けた手続きは一連の問題に区切りを付けた後になるという。

 昨年にカテーテル治療や検査後に複数の患者が死亡したほか、糖尿病患者がインスリン投与を適切に受けられずに死亡するなど問題が相次ぎ、市は今年2月に医療法に基づく改善命令を実施。病院側が提出した改善計画の進捗を専門家らでつくる「病床機能検討部会」で確認する対応を決めた。

 6日にあった初会合では、今年8月末までと義務付けられた改善が完了した後も来年8月末まで改善状況をチェックする方針が共有された。市は「医療安全体制が担保されるまでは病院新設の手続きは進められない」との姿勢を示す。

 市によると、新しい病院の開設は同部会の意見を踏まえて市が許可する。許可が下りるのは来年9月以降にずれ込み、加えて建設工事は元々23年9月~今年12月ごろまでの約1年4カ月間かかる計画で「開設は少なくとも2年以上先になる」(地域医療課)。

 新病院は同区旭が丘2の垂水養護学校と垂水体育館跡地に建設を予定。市は地域の中核病院整備を掲げ、20年に病院側と事業推進で合意。計画では14科216床を整備し、小児科の専用病床新設のほか、新生児集中治療室(NICU)の機能も備える。(金 旻革)

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