知事批判文書問題、兵庫県議会が百条委設置へ 自民が党議拘束決定、賛成過半数の見通し

神戸新聞NEXT

 兵庫県の元西播磨県民局長が作成した文書を巡り、県議会(定数86)が一連の問題を調べるため、地方自治法に基づく調査特別委員会(百条委員会)を設置する見通しとなった。設置の賛否が割れていた最大会派の自民党県議団(36人)は10日、設置議案の採決時に全員が賛同するよう党議拘束をかけると決定。賛成が議会の過半数(議長を除く43人)となる見込みとなった。

 定例会最終日の13日に、第4勢力のひょうご県民連合(9人)と共同で設置議案を提出し、採決される予定。百条委が開かれることになれば、県議会では1973年以来となる。

 元県民局長を巡っては、斎藤元彦知事や県幹部らの言動を「違法行為」と指摘する匿名文書を作成、配布していたことが3月下旬に発覚。斎藤知事は第三者機関による調査を実施するとしているが、自民と県民連合、無所属議員の一部が「実効性に疑問が残る」とし、罰則規定もある百条委での調査を訴えていた。

 一部で設置に反対する議員がおり、動向が注目されていた自民会派は10日、総会を開催。慎重派のベテラン議員らが「百条委は第三者機関の調査結果を見てから判断すべき」とし、採決時の不拘束を求めたが、北野実幹事長は「会派の分裂は避けなければならない」と拘束を決めた。違反すれば処分もあるため、ほぼ全員が賛成する見通しで、議会全体でも賛成派が過半数となる情勢となった。

 一方、第2会派の維新の会(21人)は「人事課の調査資料提出が先で、慎重に議論すべき」として反対を主張。第3会派の公明党(13人)も反対姿勢を示している。(前川茂之)

 【百条委員会】地方議会が地方自治法第100条に基づき設置する特別委員会。自治体の事務に関する疑惑や不祥事について事実関係を調べる。強い調査権限が認められ、首長や議員ら関係者の出頭や証言、記録の提出を求めることができる。正当な理由なく拒否したり、偽証したりすると、禁錮や罰金が科される。

© 株式会社神戸新聞社