「ドラマのよう」 横浜で兄弟が連携して窃盗犯を確保 正義感に突き動かされ 警察署が感謝状贈呈

村野署長から感謝の言葉を掛けられた峰盛さん(右から2番目)と道基さん(同3番目)=港南署

 兄弟で力を合わせて万引した男を取り押さえたとして、神奈川県警・港南署は横浜市港南区に住む高校3年の狩野峰盛さん(17)と弟で小学校5年の道基さん(10)に感謝状を贈呈した。「ナイトのようになるのよ」。母親からそう言われて育った2人は正義感に突き動かされ、大手柄を成し遂げた。

 署などによると、2人は5月25日夕、同区のJR港南台駅前で信号待ちしている際に「ドロボー」という叫び声を聞いた。すると、近くのスーパーから女性警備員が男を追い掛けて来たといい、車道に飛び出して走る男を見て峰盛さんが「追い掛けるか」と声を掛け、道基さんはうなずいた。

 2人は走って男を追い掛け、約300メートル離れた住宅街で歩いているところを発見。機転を利かせ、素知らぬふりをして歩いて近づいた峰盛さんがヘッドロックで押さえ込んだ。通行人の男性が加勢し、女性警備員の110番通報で駆けつけた署員に男を引き渡した。男は食料品7点(約4500円相当)を盗んだとして、窃盗容疑で逮捕された。

 道基さんも峰盛さんの荷物を預かって懸命に後を追い、男の姿を見失っていた女性警備員を現場に誘導するなど手助けしたという。

 空手初段の腕前という峰盛さんは「こんなに大ごとになるなんて、現実ではないみたい。とっさに体が動いた」と照れ笑いを浮かべ、道基さんは「うれしかった」と胸を張った。

 母親の愛さん(42)は「人に優しい子になってほしいと願っていた。でも、窃盗犯を捕まえるとは思ってもみなかった」と目を細めた。

 村野英明署長は「まるでドラマのよう。2人の連携がなければ犯人は捕まらなかった」と感謝した。

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