富士山“夏山登山”の事前登録始まる「今年は大変なことになる」山小屋も困惑…山梨側が登山者数の上限設定で静岡側混雑の恐れ

7月10日の富士山の静岡県側の山開きまで、あと1か月です。静岡県内3つの登山ルートでは、6月10日から事前登録の受付が始まりました。静岡県はすべての登山者に協力を求めたいとしていますが、山小屋関係者は不安を抱えています。

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2024年の夏山シーズンを迎える富士山は、弾丸登山や混雑の対策として、山梨県側が通行料2,000円を徴収し、登山者数に上限を設けます。それに伴い、静岡県側でも事前登録の仕組みを導入することになりました。

<LIVEしずおか 滝澤悠希キャスター>
「富士登山の事前登録をするサイトです。無料で登録をすることができますが、富士登山のルールやマナーについても学ぶよう呼び掛けられています」

10日から静岡県側の3つのルートで受付が始まった事前登録では、登山を始める日時や宿泊を予約した山小屋の名前などを入力します。メールで届いたQRコードを現地で示しリストバンドを受け取ります。

<埼玉県から来た人>
「夏に富士登山を考えていて、下見に来ました」
「事故が多いという報道も聞いていますし、計画的に登る意識付けにもなるのかなと思います」

<静岡県富士山世界遺産課 大石正幸課長>
「マンパワーでいうと、コストもかかるし非常に負担も大きくなる。入山管理をしっかりやっていくためには、どうしてもデジタル技術・DXの活用が重要と考えている」

強制ではなく任意での登録を呼びかけるという静岡県。一方、山梨県側では1日の登山者数の上限が4,000人に制限されることから、インバウンドを含めた多くの登山者が静岡県側にまわるのではないかと懸念されています。山小屋関係者は山梨側と静岡側の対応の違いに困惑しています。

<東富士山荘 米山千晴さん>
「全国から来られる方、世界から来られる方は、富士山は一つだと思っているわけ。山梨県と静岡県の相違が出てきちゃっている。ここがスタートですよ。なぜ一緒にできなかったのか。今年は大変なことになるのかなと思っていますけどね」

<静岡県富士山世界遺産課 大石正幸課長>
「今回の取組みの成果をしっかり見極めてた上で、山梨県と歩調を合わせることも必要になってくると思うので、この夏から並行してしっかりと検討していきたい」

世界に誇る富士山で安全に登山を楽しむために何ができるのか。関係者の模索は続きます。

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