片山副知事「百条委やめて」と自民に依頼 知事批判文書問題、辞職と引き換えに 兵庫県議会で答弁

兵庫県議会本会議で、元西播磨県民局長の文書問題について答弁する片山安孝副知事(中央)と、席に座る斎藤元彦知事(左)=10日午後、県公館

 兵庫県の元西播磨県民局長が斎藤元彦知事や県幹部らを批判した文書を巡り、片山安孝副知事が今月に入り、地方自治法に基づく調査特別委員会(百条委員会)の設置議案の提出を決めた県議会自民党県議団(36人)に対し、自身の辞職と引き換えに議案を提出しないよう依頼していたことが分かった。自民は応じないとみられ、片山副知事は取材に「議会との調整は副知事の業務。状況は変わり、今は任期を全うして知事に尽くすのが業務だと思っている」と答えた。

 10日の県議会本会議で、自民の伊藤傑議員(神戸市須磨区選出)が会派への打診を明らかにした。伊藤議員は「自分が全責任を負って辞職するから百条委員会をやめてくださいと、執行部や議会運営委員長らに相談したのか」とただした。

 これに対し片山副知事は、今後、知事から独立した第三者委員会が発足し文書の内容が再調査される見通しを示し、「その動きを見てもらいたい思いから、百条委員会について考え方を述べた」と答弁。辞職を申し出たのも「覚悟を持って話すべきと考えた」と述べ、事実と認めた。

 伊藤県議は斎藤知事に対し、副知事による自民会派への働きかけは不適切ではなかったかと質問。斎藤知事は「その事実は初めて聞いた」とした上で「副知事は議会側と折衝を行うのが仕事。業務の一環として判断されたのだと思う」と答えた。

 問題となった文書は斎藤知事や片山副知事、複数の県幹部の言動を「パワハラ」「違法行為」などと告発する内容で、元県民局長の男性職員(60)が3月中旬に一部の報道機関や県議らに郵送。県は5月、人事課の内部調査を経て男性職員を停職3カ月の懲戒処分としたが、調査の客観性を疑う声が議会などから上がったため、知事は第三者機関での再調査を決めていた。

 本会議の終了後、片山副知事は報道陣に「百条委は県の業務への影響、職員の負担が大きい。それを考慮し、第三者委員会の動きを待っていただけないかとお願いした」とし、議会に圧力をかけたり介入したりする意思はないとした。自身の進退を問われると「県議会は非常に重い判断をしているので、自分も重い覚悟を持って話した。ただ状況は刻一刻と変わるので、今は任期いっぱいを務めるという原則に立ち返っている」と話した。(金 慶順)

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