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かがり火に照らされた舞台で能と狂言を上演する「薪能」が10日、山形市の東北芸術工科大の水上能楽堂「伝統館」で行われ、観衆を幽玄の世界にいざなった。
大蔵流の人間国宝・山本東次郎さんらによる狂言「箕被(みかずき)」は、連歌狂いの夫に愛想を尽かした妻が離縁を申し出、別れ際に2人で上の句と下の句を出し合い連歌を詠むという筋書き。妻の連歌の才能に驚く夫、離れがたい思いを吐露する妻の機微を描いた。
観世流の観世銕之丞(てつのじょう)さんらによる能「善知鳥(うとう)」は、猟師の亡霊が僧侶の前に現れ、助けを求める物語。両生類を思わせる「蛙(かわず)」の面を着けた亡霊は、生前に親鳥の鳴きまねをして子鳥を捕らえる狩りをしてきたと説明し、妻子に会えても触れることができず、鳥の化け物に地獄で責め続けられると嘆く。救われることなく逃げ惑う姿に、観衆は息をのんで見入った。
同大が主催し、21回目。約420人が鑑賞した。