「FF14」「FF16」を中心にシリーズ楽曲を披露!「Distant Worlds: music from FINAL FANTASY」東京公演をレポート

スクウェア・エニックスは、2024年6月8日・9日に開催した「ファイナルファンタジー」シリーズのオーケストラコンサート「Distant Worlds: music from FINAL FANTASY」の模様をお届けする。

本イベントは「FINAL FANTASY(以下、FF)」歴代シリーズの楽曲をオーケストラの演奏と映像で楽しめるコンサート。今回はゲストにサウンドディレクター/コンポーザーの祖堅正慶氏とヴォーカリストのAmanda Achenさんを招き、歴代シリーズの名曲をはじめ祖堅氏が手掛けた「FF14」や「FF16」を中心に演奏した。ここでは東京国際フォーラム・ホールAで実施された6月8日公演について紹介していこう。

まずは「FF1」から「FF16」のオープニングや名場面と共に「プレリュード」でスタートし、続いて「Distant Worlds」でもお馴染み「FF8」のオープニングテーマ「Liberi Fatali」へ。重厚なコーラスに、たたみ掛けるようなメロディが重なっていく。ここで指揮を担当するアーニー・ロスさんが、2年ぶりの来日についてコメント。コーラス隊「Barzz~鳥の吟遊詩人たち~」を紹介し、併せて触れられた祖堅氏も客席からファンに向かって大きく手を振っていた。

「勝利のファンファーレ」を挟んで披露されたのは、ゴルベーザやスカルミリョーネ、カイナッツォ、バルバリシア、ルビカンテなどとのバトルを映像で振り返った「ゴルベーザ四天王とのバトル」。重厚感のある打楽器が、緊迫した戦いの空気感をより一層高めてくれる。物悲しいピアノから始まる悲壮感に満ちた「ザナルカンドにて」も、もはや説明不要といっていいほどのコンサート定番曲だ。「FF9」の「Vamo' alla flamenco」には、クラシックギターのソリストが登場。荘厳なオーケストラと共に鋭いギターサウンドが鳴り響き、会場を華やかな雰囲気で包み込んでいく。

「FF14」からは4曲が披露され、1曲目はプロデューサー兼ディレクターである吉田直樹氏が「FF14」のオーケストラコンサートで「紅蓮で好きな曲」とコメントしたこともある「塩と苦難の歌~ギラバニア湖畔地帯:昼~」。原曲の伸びやかさはそのままに、その土地や人々の力強さが感じられるような堂々たる楽曲に仕上がっていた。ここでヴォーカリストのAmandaさんが加わり、漆黒の闇を取り戻す「Tomorrow and Tomorrow」、現実での十余年も含めた長い戦いの幕引きとなる「Flow」を届けていく。「終焉の戦い」にはこれまでに戦ったボスなどのBGMが盛り込まれているが、フレーズの変化に合わせて各バトルの映像も振り返りながら堪能できるという贅沢な演出になっていた。

第一部は久しぶりの演奏となった「Chocobo Medley 2012」で幕を閉じ、第二部は「FF6」の飛空艇「ファルコン号」のBGMである「仲間を求めて」から始まる。アグレッシブなアレンジも入り、崩壊した世界を駆ける希望としての側面が強まったように感じた。「妖星乱舞」にはオルガンのソリストが加わり、シリーズ屈指となる曲の長さの中でも激しい転調をしっかりと再現。映像ではBGMが流れた瓦礫の塔でのバトルだけではなく、ケフカが多くの命を奪った所業も見せつけていく。

「FF7」の「エアリスのテーマ」では柔らかな管楽器や弦楽器の音色へ、ピアノが静かに溶け込んでいく。まだ「FFVIIリバース」の記憶も新しい中、オリジナルの映像と共にエアリスへの色々な感情が胸中に去来したファンも多かったのでは。同じくアーニーさんが指揮を担当し、8~9月に開催する「FF7 リバース」への期待も高まったところで演奏された「FF15」の「Valse di Fantastica」は、ゲーム内のように4人がレガリアで旅をした場面が映し出される。ワルツのリズムがどこか悲しい運命を感じさせるが、彼らの旅は決してそれだけではなかったと思い出させてくれる。

クライマックスを飾ったのは「FF16」の4曲で、それぞれの曲ごとにジョシュア、ディオン、ジル、クライヴの4人へフォーカスした映像も流れる。序盤にフェニックスと化したジョシュアがイフリートと戦う「Away」、バハムート戦を象徴する「Ascension」、祖堅氏がいわばジルのテーマ曲だと語り、Amandaさんが歌う「My Star」、発売前からPVなどで耳にする機会も多く「FF16」を代表する一曲となった「Find the Flame」は、それぞれに思い入れの強いファンも多いことだろう。とくに「Find the Flame」はクライヴが目の前の事実を受け入れ、戦うことを決意するシーンからセリフ付きで映像が流れたこともあり、コーラスと合わせた盛り上がりは鳥肌が立ったほど。

曲の合間には、祖堅氏もステージへ登壇。ファンやアーニーさんへお礼を述べながら「FF14」の拡張ディスク「黄金のレガシー」発売直前ということもあり控室でも作業を行っていたことや、うっかりスーツを用意できず「FF16」のパーカーで会場へ現れたこと、「FF16」をプレイしていれば理解できるコントローラーの操作なども笑顔で話していた。アンコールはやはり、これを聞かずには終われない「FF7」の「片翼の天使」で締めくくられる。

今回は2022年開催のFF35周年を記念した際のような全ナンバリングではなく、祖堅氏が手掛けた「FF14」「FF16」へ大きくフォーカスした公演となった。とくに「FF14」のプレイヤーであれば「ゴルベーザ四天王とのバトル」は拡張ディスク「暁月のフィナーレ」、「Vamo' alla flamenco」はジョブの踊り子関連、「妖星乱舞」は「クロニクルクエスト:オメガ」で度々聞く機会があり、「FF15」「FF16」はコラボクエストもあったため、より身近に楽しめたように思う。今後はぜひ、シリーズ最新作「FF16」単独コンサートも開催してほしいと思わずにはいられないコンサートとなった。

「Distant Worlds: music from FINAL FANTASY」公式サイト
https://www.jp.square-enix.com/music/sem/page/distant_worlds/2024/


© 株式会社イクセル