能登半島地震を踏まえ福井県が避難指示に新運用基準…Jアラート発表で発令とみなす運用可能に 県地域防災計画を改定

福井県地域防災計画を改定した県防災会議=6月10日、県庁正庁

 福井県防災会議は6月10日、県庁で開かれ、能登半島地震を踏まえて県地域防災計画を改定した。津波警報時などに市町が行う避難指示発令について、全国瞬時警報システム(Jアラート)の発表を発令とみなす運用を可能にした。県によると、こうした運用を計画に明記するのは都道府県で初めて。

 1月に発生した能登半島地震では、県内沿岸部11市町に津波警報が出された。津波の到達予想時刻後に避難指示を発令した自治体があったほか、Jアラートによる「みなし運用」としたり、指示を出さずに緊急避難を呼びかけたりした市町もあり、対応が分かれた。市町担当者からは「避難指示は職員の参集や災害対策本部の立ち上げを経て意思決定しないと発令できない」と、迅速な発令の難しさを指摘する声が上がっていた。

 Jアラートによる運用は、職員が庁舎にいなくても防災行政無線が自動起動して住民に避難を呼びかけることができる。県は避難指示の発令はJアラートによる運用に統一していきたい考えで、各市町の防災担当者に計画改定を周知し運用方法を検討してもらう。

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 改定ではこのほか、能登半島地震での課題を踏まえ、衛星通信設備や循環式手洗い機など最新の災害対応設備を活用していく方針を明記した。杉本達治知事は「今の段階で得られた知見を計画に反映した。中長期的な課題については引き続き検討し、できるだけ早く対応したい」と述べた。

 会議はオンラインを併用し、杉本知事ら県幹部をはじめ、道路管理者、福井地方気象台、県警など関係機関の代表43人が出席した。

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