昨年は支配下復帰目指し必死…今は「一日が濃い」ソフトバンクコーチ1年目のやりがい

練習中、ハモンド(右)と話す奥村4軍ファーム投手コーチ補佐(撮影・穴井友梨)

◆記者コラム・タカ番24時

眼鏡をかけた姿が様になってきた。ソフトバンクの奥村政稔4軍ファーム投手コーチ補佐(31)が選手に注ぐまなざしは〝兄貴〟のようだ。「あいつらからしたら、1軍は雲の上のような存在だと思う。でも実際は遠そうで遠くない」。多くの経験をしたからこその言葉だ。

2019年に26歳でプロ入り。1軍計21試合に投げ、先発も経験した。22年9月に右肘の手術を受けて育成契約に。23年はファームで支配下復帰を目指したがかなわなかった。「昨年の今頃は必死だった」。今季から指導者となり「一日が濃い」。1年前の奮闘が遠い昔のように感じる。

野球に関する情報はあふれている。「その選手によって、ぱっと〝処方箋〟のように(助言を)出せるようになりたい」。取捨選択して教えるだけでなく、自らの伝える力を養って選手の理解を深められるように、読書や動画で勉強を重ねている。

練習や試合では大きな声でもり立てる。5月31日の四国アイランドリーグplus徳島との4軍交流戦(タマスタ筑後)。1死満塁のピンチを招いた育成ルーキーの長水啓眞投手(18)=京都国際高=をベンチから励ました。「自分の声で抑える気持ちになってくれたら」。その思いに長水も無失点で応えた。

現職にやりがいを感じている。「自分は1年目だけど(他のコーチに)何か一つでも勝てるようレベルアップしたい」。支配下になって活躍する選手を育てたい―。いつか名コーチと呼ばれるよう、選手とともに日々成長を続ける。(浜口妙華)

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