日田林工高林業科の志願者増へ新たな取り組み 新入生に実習服や安全靴寄贈、奨学金創設も予定【大分県】

寄贈された実習服を着て実習に臨み、木の裁断方法を学ぶ林業科の1年生(左側)ら=日田市吹上町の日田林工高
寄贈された実習服を着て測量実習に取り組む林業科の1年生たち

 【日田】日田林工高林業科(日田市吹上町)の志願者増に向け、新たな取り組みが始まった。本年度の新入生は定員40人に対して25人で、近年は定員割れが続く。このような状況を受け、日田木材協同組合が同科の新入生に実習服や安全靴などを贈り、来年度からは奨学金制度を創設の予定。林業に関わる人材を確保するため、対策に乗り出している。

 寄贈するのは実習用帽子や作業用ベルトなど1人当たり約1万8千円相当で、保護者の負担を軽減する。

 奨学金は2、3年生各4人に月1万円を給付する予定(3年生は2026年度から)。返済義務はなく、年度ごとに同校が選考して対象の生徒を決める。進路の条件は設けず、「一度、県外で就職したり大学に進学した後、戻ってくる選択肢もある」と同科の坂本信教指導教諭(51)。

 服や靴を贈られた1年生は、将来の夢を描きながら学校生活を送っている。

 桑野翔大(しょうた)さん(15)は「幼い頃、祖父が木を切る姿を見て林業に興味を持った。将来は大工になりたい」。木材関連作業の重機の運転手を目指す香下凌央(りょお)さん(15)は「将来のため、在学中にチェーンソーなどの資格を取得したい」と意欲を見せる。

 同組合の瀬戸亨一郎理事長は「支援策により一人でも多くの生徒に入学してもらい、日田の林業、木材産業の発展につながれば」と話している。

<メモ>

 日田市も日田林工高との連携強化の一環で、校長やPTA役員などでつくる団体「林工コンソーシアム」に本年度から参加。年3回程度、会合を開いて定員割れ対策など学校の魅力向上について議論している。

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