突然の“死”に読者も仰天?『ジョジョ』に『ドラゴンボール』も…主人公を殺しちゃった“最凶”の悪役たち

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『週刊少年ジャンプ』のバトル漫画では、作中で立ちはだかる“悪役”たちが実に魅力的だが、なかには物語の途中で主人公を殺害し読者を驚愕させた、とんでもない強敵も登場してきた。その驚異的な実力で登場人物たちのみならず、読者をも絶望の淵に突き落とした悪役たちを見ていこう。

■まさかの“死”に読者も愕然!?…完全死亡編

バトル漫画において悪役の存在は欠かすことができないもの。彼らは身につけたさまざまな力を駆使し、一癖も二癖もある活躍で物語をかき乱してくれる。

なかでも、物語の序盤から宿敵として描かれ、人智を越えた存在となって主人公を追い詰めたキャラクターといえば、1986年から連載されている荒木飛呂彦さんの『ジョジョの奇妙な冒険』に登場するディオ・ブランドーが挙げられる。長い歴史を持つ『ジョジョ』だが、その始まりともいえる第1部から登場する悪役であり、彼との因縁からすべてが始まったといっても過言ではない。

ディオは偶然舞い込んできた奇妙な因縁を駆使し、貴族の息子である主人公ジョナサン・ジョースターの元にジョースター家の養子として姿を現した。ジョースター家の乗っ取りを画策するディオは、自身の凶行がバレて追い詰められたことで、最終的に“石仮面”と呼ばれる古代の遺産の力によって“吸血鬼”として生まれ変わる。

徐々に勢力を拡大し、“悪の帝王”として君臨することを企てていたディオだが、修行を積み成長したジョナサンとの再戦ではその野望を打ち砕かれてしまう。

だが、すべてが終わりハッピーエンド……かと思われたのも束の間、なんと彼は“首だけ”の状態で生きながらえ、新婚旅行へと旅立つジョナサンの元に舞い戻る。その凄まじい執念でジョナサンに致命傷を与えるディオだったが、ジョナサンの決死の活躍により、絶命した彼に抱かれる形で爆発する船とともに海へと沈んでいった。

正義の勝利によって幕を閉じることが多いジャンプ作品において、主人公が死亡し、悪役もろとも海へと消えていってしまう最終回は、当時の読者に凄まじいインパクトを与えた。

成り上がるためとはいえ人間をやめ、圧倒的な執念で主人公を死に追いやった、凄まじい悪役キャラクターといえるだろう。

■一歩間違えれば危なかった? 能力を奪われ死亡編

物語のなかでキャラクターが死ぬ理由は実にさまざまだが、悪役によって重要な力を奪われ、死に瀕してしまうパターンも少なくはない。

1999年から連載された岸本斉史さんの『NARUTO-ナルト-』のなかでは、主人公・ナルトが、自身に宿った“尾獣”の力を抜き取られ、心停止の状態にまで追い詰められた。

この絶体絶命のシーンが描かれるのは物語後半「第四次忍界大戦」の一幕である。数々の強敵たちが禁術・穢土転生によって蘇るなか、その圧倒的実力で戦場を混沌に染め上げていたのが、うちは一族の元長・うちはマダラだ。

マダラは戦場にて主人公・ナルトとも交戦するのだが、独自の目的からナルトの九尾の力を抜き取ってしまう。これによってナルトは衰弱し、仲間の治療の甲斐も虚しく、心停止状態にまで陥ってしまうのだ。

最終的にナルトは復活したものの、彼の支えともなる力を奪い取り、死の淵に立たせた強敵といえるだろう。

また、1979年から連載されたゆでたまごの『キン肉マン』のなかでも、主人公・キン肉スグルが、とある超人によって“仮死状態”にまで追いつめられる場面があった。

その超人とは「黄金のマスク編」に登場する、“悪魔六騎士”の一人・スニゲーターだ。彼はキン肉マンとの戦いで敗北してしまうのだが、道連れにキン肉マンの持つ“超人強度”を奪い取ることで、事実上、キン肉マンを死亡させてしまうのだ。

その後、キン肉マンはウルフマンから力を与えられることで復活するが、試合に負けてもただでは終わらないスニゲーターの極悪非道な立ち振る舞いに、狡猾さや強い執念を感じ取ることができる。

■逆転劇への布石? 死亡してパワーアップ編

「主人公の死」というとどこか絶望的な展開に思えるが、一方で死からの復活をきっかけに思わぬパワーアップを遂げたキャラクターたちも登場している。

1984年から連載された鳥山明さんの『ドラゴンボール』では、主人公・孫悟空が地球に襲来したサイヤ人・ラディッツとの戦いのなかで死亡してしまう。それまで数々の強敵を打ち倒してきた悟空のまさかの死に、当時の読者たちは大きな衝撃を受けたことだろう。

悟空はのちにドラゴンボールの力によって蘇るが、死亡中、なんと界王様と邂逅することであの世で修行を続け「界王拳」や「元気玉」といった新たな力を身に着けて舞い戻ってくる。

悟空ですら容易に勝利できなかったラディッツの実力に戦慄するとともに、悟空の意外過ぎるパワーアップ展開にも驚かされてしまうエピソードだ。

また、1990年から連載された冨樫義博さんの『幽☆遊☆白書』では、主人公・浦飯幽助が「魔界の扉編」にて、強敵・仙水忍と激闘を繰り広げた末、死亡している。

仙水の圧倒的な実力に仲間たちが一蹴される絶望的な展開だったが、そのさなかで幽助が自身に眠っていた“魔族”の力に覚醒し、息を吹き返す。真の力に目覚めた幽助には手も足も出ず、仙水は最終的に敗北してしまう。

この「死からの覚醒シーン」は、幽助が魔界三大妖怪の1人である雷禅の子孫であったという予想外の過去に繋がっていく、なんとも印象的なエピソードとなった。

主人公とその仲間たちを蹴散らした仙水の実力もさることながら、覚醒した新たな力によってそれを一蹴する幽助の強さにも心惹かれる、なんともインパクト大な“死亡”シーンといえるだろう。

友情、努力、そして勝利がモットーの『週刊少年ジャンプ』の漫画作品だが、意外なことに作中で死亡してしまった主人公は多い。作品の顔とも呼べる主人公たちを殺害した悪役たちのその活躍に驚き、絶望してしまった読者も多いのではないだろうか。

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