【インタビュー】PKCZ(R)、<感謝祭 2024>まもなく開幕「色んなものが繋がってくる面白さを見せられる」

クリエイティブユニットPKCZ(R)が、約7年ぶりのアルバム『Put Your Hearts Up, Everybody Jump Up』を6月1日にリリースした。本作には、ここ数年間でリリースされた「T.O.K.Y.O.」や「GLAMOROUS」、「煩悩解放運動」などに加え、リードトラック「Put Your Hearts Up, Everybody Jump Up」やユニット初のオリジナル音源「PLAY THAT」の新録版となる「PLAY THAT‘24 (ALAN ver.)」が収録されている。

また、昨年大盛況に終わったライブイベント<PKCZ(R)感謝祭>が今年も開催されることが決定しており、6月20日に渋谷のSpotify O-EASTにて行われる東京公演を皮切りに、PKCZ(R)は全国5か所を回る。今回のインタビューでは、同ユニットのフロントメンバーである白濱亜嵐(EXILE/GENERATIONS)、EXILE MAKIDAI、DJ DARUMAにアルバムとツアーを中心に話を聞くことができた。

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◼︎普段それぞれの活動でやってないことを、このチームでは実践している

──まずはリードトラック「Put Your Hearts Up, Everybody Jump Up」についてお聞きしたいです。90年代レイヴがリファレンスになっていますが、もっと具体的にジャンルを限定するとワープハウスですかね?

MAKIDAI:特定のジャンルにフォーカスする意図はなかったです。狙いとしてまず、昨年の<PKCZ(R)感謝祭>をやったときに、「PLAY THAT」ががっつり盛り上がる曲としてありました。で、新たにツアーを回ろうとしたときにライブやフェス、クラブでかかるようなキラーチューンが欲しかったんですね。PKCZ(R)の新しいアンセムというか。

DJ DARUMA:フロア向けの楽曲にはなってると思います。PKCZ(R)の曲はダンスミュージックがベースになることが多いんですが、それとJ-POPをどうやって混ぜ合わせるかってところがアイデアの根幹にあるような気がします。

──主軸はダンスミュージック側にあると。

MAKIDAI:そこはでもバランスだよね。PKCZ(R)としてはあまりどこかに偏らないようにしようという意図はあります。亜嵐が加入したこともあって、ユニットとして歌モノもやれるようになったんです。日本の音楽シーンはやはり「歌」が重要なので、そこにアプローチできるのは大きいですね。ダンスミュージックを拠り所にはするけど、意外とやってそうで誰もやってない方向に行きたいっていう。

──「煩悩解放運動」はまさしくそういった面白さがあったように感じます。ハウスを起点にさまざまな要素が入った内容になってますよね。

白濱亜嵐:あの曲は“面白い曲やりたいよね”っていう漠然としたアイデアから始まって、最初からああいうサイケデリックな感じを目指したわけじゃないんです。僕としては結構リリックに引っ張られた感覚がある。“煩悩解放運動”というキラーワードから世界観が生まれていったんですよね。PKCZ(R)の曲ってひとつ点が生まれると、そこからどんどん繋がってアイデアが発展してゆくイメージがあります。あの曲はそれが顕著だったかなと。

MAKIDAI:リリックも亜嵐が書いてます。

白濱:僕がスタジオで「煩悩」って呟いたことがきっかけです。

MAKIDAI:MVもふざけてますよね(笑)。世界観は確かにリリックから作られていて、アートディレクションにも村田実莉さんに関わっていただきました。ジャケットのデザインも村田さんにやっていただいたんですが、元々はJOMMYやDARUMAさんが繋いでくれた感じで。“煩悩解放運動”ってそれこそありそうでなかったフレーズだったと思うんですね。この曲が出た頃はまだコロナ禍の規制もあって、気持ちだけでもちょっと解放していきたいよねってマインドがありました。

──PKCZ(R)はライブに力がありますから、まさに抑圧からの解放は重要なポイントですね。このユニットのライブにおける表現方法ってすごく独特に見えて、それが魅力のひとつだと思います。DJでもLiveでもないというか。

DARUMA:Live setのなかにDJの要素を持ち込んでるって感覚じゃないですかね。

MAKIDAI:お客さんが参加できるポイントを作れたらと思っています。基本は<感謝祭>に来てくれた人たちとPKCZ(R)が大騒ぎするために曲を作ってる気がします。普段それぞれの活動でやってないことを、このチームでは実践しているように思います。

白濱:僕もポップスやってて思うんですけど、パフォーマンスがない分、ライブをDJブースだけで見せきるのって難しい感覚があるんですよ。それゆえの参加型だったり、表題曲「Put Your Hearts Up, Everybody Jump Up」のライブ感があると思います。PKCZ(R)はLDHのグループの中でも独特な世界観を持っているように感じますね。

MAKIDAI:亜嵐はブースへの出入りも激しいし、歌もうたうし、色々と忙しいよね(笑)。DJブースでもライブが成立するのがPKCZ(R)らしさかもしれません。

DARUMA:DJとしてのそれぞれの特性も現れていると思いますね。僕なんかは4〜5分の長い曲をかけてもフロアに任せられるんですけど、MAKIDAIは性格的に放っておけない(笑)。それがPKCZ(R)のライブに活かされているように感じます。“お客さんと一緒に楽しもう”っていう時間が続くのは、MAKIDAIのキャラクターから来てるんじゃないかな。ライブの最初から最後までその調子でやるもんだから、お客さんもハァハァになってるという(笑)。……ひとつ「やっぱりこの人ヤバいな」って思った話があるんです。

MAKIDAI:「やっぱり」なんだ(笑)?

DARUMA:EXILE TRIBEの「HIGHER GROUND」をセットリストに組み込もうとしたとき、7秒ぐらいのイントロに対して「あそこ空いてるんだよなぁ。何かできないかなぁ」とか言い出すんですよ。いやいやあのイントロでお客さんはあがってくれるから大丈夫だよと(笑)。MAKIDAIのそういう精神性はPKCZ(R)にとって大きな影響があります。

MAKIDAI:EXILEのライブの時に心がけていた事でもあるのですが、いかにしてお客さんに楽しんでもらえるか、ステージから遠い人も近い人も、様々な角度から体験できるようなイベントにしたいと思ってるんです。色んな楽しみ方を多面的に作りたいというか。

──「T.O.K.Y.O.」なんかはまさにそういった“参加型”の極致に思われます。実際に昨年の<感謝祭>ではこの曲で踊ってるお客さんもたくさんいましたし。

白濱:振付師の方に入っていただいて、お客さんも即席で踊れる簡単なフリをつけてもらいました。歌詞にもあるようなお神輿をモチーフにしたダンスを取り入れたんですけど、確かにお客さんたちみんな出来てましたね。それとあの曲がリリースされた頃(2022年12月)はすでにTikTokの存在も大きかったので、フリを発信しやすかったんです。

──白濱さんはご自身名義の曲「Lovesickness」などでヴォーカルをとっていますが、すっかり歌い手のイメージも浸透してきたように思います。新曲の「So Tight」はアルバムの中ではややテンションが異なりますが、完成度の高い2Stepチューンです。

白濱:この曲のデモができたのって2年ぐらい前でしたっけ?ラブソングに聞こえて実はスニーカーのことを歌ってるんですけど(笑)、なめらかなニュアンスの曲の中で言葉遊びみたいなことをやりたかったんです。ライブでやるとちょっとしっとりし過ぎるかなとも思ったんですけど、他の曲が強いので「So Tight」は違うベクトルで存在感を示せるかなと。

◼︎PKCZ(R)は円で繋がっている感覚がある

──改めてアルバムに収録されている曲を振り返ると、極めて多彩ですよね。アイデアを出すうえで、PKCZ(R)が重要視しているのはどういった部分ですか?

MAKIDAI:Primal Knowledge ChamberZ(本能と知識の部屋)とPKCZ(R)の意味にあるように、本能であがれる瞬間って世代問わず普遍的なものだと思うんです。聴いてきた音楽が同じではないとはいえ、楽しめる感覚は本能的な部分にあるような気がするんですよね。もちろん音楽シーンのトレンドも大事ですが、PKCZ(R)としてはもっと刹那的なものを重要視しているかもしれないです。

DARUMA:ノリが合うかどうかは重要だよね。

MAKIDAI:そうそう、まさに。ノリが大事。

──その意味で今回のアルバムは、PKCZ(R)の瞬間瞬間を切り取った作品でもありそうですね。3年ぐらいの時間を経て、それぞれの楽曲がコンパイルされているわけですから。

白濱:確かに。僕がPKCZ(R)に加入してからもそれぐらい経ってますもんね。

MAKIDAI:2020年10月にGENERATIONS from EXILE TRIBEの配信ライブ<LIVE×ONLINE INFINITY>で加入を発表してからだから、もうすぐ4年だね。

白濱:そう考えると「GLAMOROUS」(2021年3月リリース)とかめっちゃ前の曲ですね。

MAKIDAI:そうだね。この曲で亜嵐はボーカルもとってるんですけど、歌唱デビューがまさかのドーム公演(<EXILE TRIBE LIVE TOUR 2021 "RISING SUN TO THE WORLD">)という(笑)。いきなりドームから始まってふつうに歌っちゃうのが亜嵐の面白さだよね。なんか、そういう大舞台でもへっちゃらなんですよ。なんでそんなに気負いがないのか聞いてみると解釈が面白くて。

白濱:僕の中ではボーカルもシンセやドラムの一部なんですよね。自分の声も楽器のひとつというか。もちろんボーカリストは素晴らしい職業なんですけど、プロデューサー目線で考えると歌唱もインストも一緒に見えるんです。歌い手の中にもバイオリンのストラディバリウスみたいな音色の人もいれば、歪んだ声の人もいる。そこに優劣はなくて、ただトーンやカラーが違うだけだと思うんです。PKCZ(R)の楽曲もそういう感覚で捉えてますね。

白濱:僕の考えでは、ポップスのテクスチャーとして一番下からドラム、メロディー、ハーモニーと続いて、その上にボーカルがあるイメージなんですね。でもPKCZ(R)はちょっと特殊で、ピラミッドではなく円で繋がっている感覚があるんです。全部が同じ位置にある気がするというか。

MAKIDAI:「煩悩解放運動」なんかは顕著ですけど、自分の声を加工して新しい形にしてゆくアプローチは、まさにボーカルを音色の一部として捉えている部分かなと。

──円で繋がる面白さはPKCZ(R)のライブにも顕著に感じます。ユニットの外側にまで広がってるのがクールですよね。「HIGHER GROUND」のように、ライブでかかるのもPKCZ(R)名義の曲だけではありません。前回の<感謝祭>はまるでPKCZ(R)の、ひいてはLDHの総力戦でした。

DARUMA:僕たちがかけて変じゃないもの、ちゃんとPKCZ(R)の文脈の中にあるものを意識しています。前回のライブをO-EASTの2階で見てたVERBALくんも「全部乗せって感じで超良かったよ」と言ってくれましたが、実際自分たちもそのつもりでやったんです。ただ、あのライブが全部乗せだっただけに不安もあったんですよ。「次のライブ6月だけど、前回を超えられる?」って。で、セットリストをある程度組み終わった今、全然やれる実感を持てました。まさに“円”の力というか、色んなものが繋がって来る面白さを見せられるんじゃないかと思います。前回とはまた別のパターンで、面白いものを提示できそうです。

MAKIDAI:前回のライブで出し惜しみしなかったからこそ、次のライブができるというかね。まぁそれは単純に「これは次に取っておこう」っていう賢い選択ができないだけかもしれませんけど(笑)、6月からのツアーも同じく全力で行きます。

DARUMA:全部乗せVer.2が出来上がってます。心配なのは、ここまで休憩ポイントなくて大丈夫なのかっていうところですね(笑)。タオルと着替えは持ってきた方がいいかもしれない。

白濱:僕、前回のPKCZ(R)のライブの様子を「ビリーズブートキャンプ」みたいだなって思いながら見てましたね。

MAKIDAI:それはヤバい(笑)。でも実際、みんなで気持ち良い疲労感を味わえるかもしれないですね。僕らだけじゃなくお客さんもあわせて、ライブはみんなで出し切れたら最高です。

取材・文◎川崎ゆうき

1st Digital Album『Put Your Hearts Up,Everybody Jump Up』

2024年6月1日(土)リリース

収録曲
1 Put Your Hearts Up, Everybody Jump Up
2 Sonic Special Stage (PKCZ(R) REMIX)
3 煩悩解放運動
4 GLAMOROUS
5 もういいじゃん
6 T.O.K.Y.O.
7 Gravity
8 Gekkabijin
9 HARD LUCK MADNESS
10 So Tight
11 PLAY THAT'24(ALAN ver.)

【ミュージックカード】
2024年6月1日(土)発売
・XNLD-10225
・価格(税込:2,530円、税抜:2,300円)
・収録曲:全11曲(共通楽曲)

<PKCZ(R)感謝祭 2024〜Put Your Hearts Up, Everybody Jump Up〜>

詳細:http://r.ex-m.jp/pkcz2024_live/

6月20日(木) 東京 Spotify O-EAST
6月27日(木) 大阪GORILLA HALL OSAKA
7月14日(日)福岡 UNITEDLAB
7月15日(月・祝)広島 HIROSHIMA CLUB QUATTRO
8月1日(木)岡山 CRAZYMAMA KINGDOM
8月2日(金)名古屋 DIAMOND HALL

関連リンク

◆PKCZ(R) オフィシャルサイト

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