生田絵梨花、アイドル時代とは違う新たな挑戦 「どれも足を踏み入れたばかりという感覚」

7月期のABCテレビ・テレビ朝日系の日10ドラマ『素晴らしき哉、先生!』で地上波連続ドラマ初主演を務めることも決まった生田絵梨花。現在カンテレ・フジテレビ系で放送中の月10ドラマ『アンメット ある脳外科医の日記』では、西島医療グループ会長の孫娘で、関東医大病院・脳外科医の綾野(岡山天音)と婚約中の脳外科秘書・西島麻衣を演じている。4月にはソロデビュー作となる1st EP『capriccioso』をリリースするなど、歌手としても活躍する生田に、乃木坂46卒業からこれまでの歩みや自身の今後について語ってもらった。

ーー連続ドラマへの出演は2023年7月期に放送された『こっち向いてよ向井くん』(日本テレビ系)以来となります。改めて『アンメット』に出演することが決まったときの心境を教えてください。

生田絵梨花(以下、生田):実力のある錚々たる方々が集まっているので、ご一緒できるのが嬉しいなという気持ちでした。お話をいただいてから原作漫画も読ませていただいたのですが、本当に魅了されてしまって一気に読んだので、この作品がどうドラマになっていくのか、そしてそこに自分が参加できるのが、ものすごく楽しみでした。

ーー生田さんが演じる麻衣は序盤では登場シーンがそこまで多くありませんでしたが、後半にかけてのキーパーソンとなりそうですね。

生田:そうなんですよね。だから最初のほうは、関東医科大学病院のチームとのシーンがほとんどで、丘陵セントラル病院で何が起こっているのか全然わかりませんでした(笑)。井浦(新)さんはとても優しくて、私のちょっとした疑問にも親身に答えてくださりますし、岡山さんともコミュニケーションを取りながら撮影に臨めています。とてもいい現場で、すごくありがたいなと思っています。

ーー麻衣はお嬢様で大人な印象がありつつも、秘めた想いを抱えている人間味溢れる人物ですね。

生田:なかなか本音を出さないし、人からは本心が見えにくい女性かなと思います。権力者の孫娘ということもあって、自分のやりたいことや選択ができず、背後に大きなプレッシャーを背負って生きてきたところもあると思うので。政略結婚相手の綾野先生(岡山天音)に対しても、本当は思っている気持ちがあるけれど、綾野先生の中にミヤビちゃんへの気持ちがあるのがわかっているから、自分に素直になれずにがんじがらめになってしまって、つい冷たい態度を取ったり突き放したような言葉を放ったりしてしまう。そうやって私自身も彼女の心情を紐解きながら演じているところです。

ーーなかなか難しい役どころですよね。

生田:本当に冷たい人だったり嫌な人に見えたら嫌ですし、かと言っていい人に見えるのも違うのかなって。その塩梅が本当に難しいんですよね。「麻衣はどんな人か」と説明するのも難しくて。撮影の順番も違ったりするので、想像力を使いながら演じています。

ーー生田さん自身と近いところはありますか?

生田:私はすぐ顔に出てしまうタイプなので(笑)。嬉しかったら嬉しい顔になってしまうし、わからなかったら「わからないです」という感じが顔に出てしまうんです。なので近いところはあまりないのですが、衝動的にブレーキをかけてしまうような麻衣の人間的な部分は、よく理解できるところではありますね。

ーードラマの公式SNSにもたびたび投稿されていますが、主演の杉咲さんとは早くも仲が良くなったようですね。

生田:花ちゃんのおかげで、現場に行くたびににこやかになるんですよね。楽しくお話しさせてもらっていますし、私が何かちょっとでも疑問があると、寄り添って一緒に考えてくれるんです。その優しさや心遣いにすごく助けてもらっています。

ーー歳も近いですよね。

生田:花ちゃんが1つ下なんですけど、花ちゃんの見てきた世界が広すぎるし、経験値が全く違うので、いろいろと学ぶことばかりです。

ーー生田さんも先日リリースされた1st EP『capriccioso』でソロデビューされるなど、音楽面を含め幅広い活動をされていますよね。

生田:本当にありがたいです。小さい頃からピアノをやっていたり、物心ついたときから歌が好きだったこともあって、ずっと音楽と携わっていたいという気持ちが強かったんですよね。グループにいたときは音楽がいつも当たり前のように近くにありましたが、卒業してからは音楽と触れる機会が少なくなってしまっていたので、ずっとその道を築いていきたいなと思っていて。いろいろ悩んだり準備をするのにも時間がかかってしまって、2年半経ってしまいましたが、ようやくスタートを切ることができました。ソロデビューは本当に嬉しいですし、ここからまた踏ん張っていかないといけないなという気持ちです。

ーー自身で作詞・作曲にも挑戦されていますが、昨年は映画『ウィッシュ』で念願のディズニーヒロインを演じるなど、マルチに活躍されている印象です。

生田:ありがとうございます。『ウィッシュ』の経験は私にとっても本当に大きかったです。自分の夢だったことをやらせてもらえる嬉しさもありましたし、作品を観てくださった方々や楽曲を聴いてくださった方々のリアクションが本当にすごかったので、作品のプロモーション期間もそういう反応がすごく自分の糧になりました。「諦めたらいけない」ということを歌っていたので、自分自身が挫けそうになったときは、『ウィッシュ』のことを思い出して鼓舞してもらって頑張っています。

ーー俳優業、音楽活動に加えて、『Venue101』(NHK総合)では毎週MCも担当されていますが、並行していろんなことをこなしていくのは大変ではないですか?

生田:自分の中では、まだどれも足を踏み入れたばかりという感覚なんですよね。芸能活動自体はアイドル時代から数えると長いですけど、映像のお芝居に関しては独り立ちしてからまだ2年ちょっとですし、音楽に関してもソロになってからは今回が初めてで、MCとしてもまだまだ初心者なので、とにかく頑張らないといけないなと思っていて。それぞれのフィールドにはそれぞれのプロフェッショナルな方がいらっしゃるので、自分がその中でどう進んでいけるのかは自分自身もすごく悩みながらやっているんですよね。アイドル時代とはまた全然違う挑戦だなと感じています。

ーー乃木坂46を卒業してから2年半になりますが、生田さんの現状は卒業当時思い描いた通りになっていますか?

生田:自分が想像していたよりもいろんな経験をさせていただけているなと。私は“なんとかなるさ精神”を全く持てないタイプの人間で……。

ーーいろいろ考えてしまうタイプ?

生田:そうなんです。卒業する前から、「卒業しても自分は求めてもらえるんだろうか」とか「本当に1人でやっていけるんだろうか」とか、いろいろ考えていて。いまでもそういうところはあるんですけど、こうやって振り返ってみると、当時の自分には考えられないくらい、本当に貴重な経験をたくさんさせていただけているので、すごくありがたいなと思います。

ーー今後に関して、何か考えていることはありますか?

生田:単発的な目標はよく立てるんですけど、長期的な目標はあまり立てないんですよね。でも、究極的には、豊かに生きていきたいです(笑)。

ーー大きな目標ですね(笑)。

生田:いろんな経験が糧になって、自分自身の人生も豊かになっていくと思うので、目の前のことを一つひとつしっかりやっていければいいかなと。この『アンメット』をやり遂げた先に、また何かを見つけられると思うので、他人のことを知りながら自分のことも知っていって、また目標を見つけられたらいいなと思います。

(取材・文=宮川翔)

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