ラストボールはストレート ノーヒットノーラン達成 大瀬良大地 11年の軌跡 ベンチで涙の思い出も…

石田充 アナウンサー
広島カープのセ・パ交流戦。7年ぶりにロッテ相手に勝ち越しを決めた週末の3連戦でしたが、何と言ってもノーヒットノーラン達成、大瀬良大地 投手、おめでとうございます。

RCC野球解説者 天谷宗一郎 さん
おめでとうございます。本当にいいものを見せてもらいました。

青山高治 キャスター
すばらしい。

田村友里 キャスター
感動しました。會澤翼 選手が抱きついていくところがもう感動的で。

天谷宗一郎 さん
アウトになったときのガッツポーズがちょっとどうしていいかわからないような…、あのガッツポーズにも大瀬良投手の人柄が出ているなと思います。みんなが来てから喜ぶっていう…。みんなで喜びを分かち合いたいという気持ちがすごくわかりました。

青山高治 キャスター
確かにそうですね。

石田充 アナウンサー
プロ11年目での偉業達成でしたが、大瀬良投手、カープに入っていろんなことがありました。

九州共立大学(福岡)2013年10月

石田充 アナウンサー
「こんにちは。あなたが、広島がドラフト1位で指名した大瀬良投手ですね。背がかなり高いでしょう」

ドラフト1位指名された大瀬良投手、3球団競合の末、ずっとそばで見ていた 田村恵 スカウトが当たりくじを引いたことも話題になりました。

大瀬良大地 投手(2013年)
「これからその(田村スカウトの)思いに応えられるようにがんばっていきたいと思うので、よろしくお願いします」

広島カープ 田村恵 スカウト
「ありがとうございます」

プロ初登板(マツダスタジアム)2014年

実況 長谷川努 アナウンサー
「大瀬良大地がまっさらなマウンドの上に上がっていきます。背番号14、これからこの人のプロ野球人生が始まっていきます。どんな球を投げ込むか。最初の1球。まずは146キロのストレートでした」

1年目から先発ローテーションに入り、10勝をマーク。新人王を獲得します。

2014年 新人王 26試合 10勝8敗 防御率4.05

vs. 中日(マツダスタジアム)2015年10月7日

しかし、リリーフに転向した2年目(2015年)、黒田博樹 さん・新井貴浩 さんがカープへ復帰したシーズンの最終戦。勝てばクライマックスシリーズ進出の試合でリリーフ登板も、決勝点を打たれてしまって “負け投手” …。ベンチで涙したのも、懐かしい思い出です。

カープにとって大切な背番号14番を “炎のストッパー”・津田恒美 さんから受け継いだ大瀬良大地。津田さんの墓参りにも定期的に訪れ、墓前に飛躍を誓ってきました。津田さんといえば、真っ向勝負、ストレートです。

そして、2016年からの3連覇のチームにおいても最多勝を獲得するなど、カープの投手陣の若き柱として存在感を増します。

2018年 27試合 15勝(最多勝) 勝率.682(最高勝率)

広島カープ 會澤 翼 選手(2018年)
「3連覇、最高でーす!」

大瀬良大地 投手(2018年)
― チームを引っ張りましたね。
「そうですね。最初はもう自分のことでいっぱいいっぱいだったんですけど、みんなの支えがあって最後の方はなんとか、いろんなところに視野を広げてがんばることができたと思います」

― 3連覇のビールの味はいかがですか?
「最高です。最高に楽しいです」

そんな、誰からも愛される男は、2019年から5年連続で “開幕投手” を務めます。キャプテンとして、選手会長として、そして鯉のエースとして、森下暢仁 などの後輩に背中で多くのものを示してきました。その信頼は、去年からの新井政権でも揺るぎません。

広島カープ 新井貴浩 監督(2023年)
「本人も並々ならぬ(開幕投手への)意欲を持っていますし、期待しています」

しかし、責任感が人一倍強い男も気がつけば32歳。チームのために振り続けたその右腕は思うように動かなくなりました。プロ10年目、節目の昨シーズンは自己ワーストの11敗。シーズン終了後に人生3度目のメスを入れます。

大瀬良大地 投手(沖縄キャンプ 2024年2月)
― プロに入って11度目のキャンプが終わりますけど、どんな1か月?
「ことしに関しては術後のキャンプとなったので、自分のやるべきことを一日一日やっていって、患部の状態を確認しながら、ここまで順調にやりたいこと、やるべきことができたのかなっていうキャンプになりました」

マツダスタジアム 2024年6月7日

迎えたプロ11年目のことし、開幕投手は同期の 九里亜蓮 に譲るも、先発ローテに食い込む回復ぶりを見せると、1点台の防御率を残して迎えた9度目の先発で偉業を成し遂げます。舞台は9年前、涙を流したマツダスタジアム。ラストボールに選んだボールは、背番号14らしい球でした。

実況 坂上俊次 アナウンサー
「投げました。打った。ライトへの当たりだ。ちょっと詰まっている。セカンドが下がって、ライトが出てきて、捕りました。アウト! 試合終了。大瀬良大地、ノーヒットノーラン達成!」

大瀬良大地 投手
「9回、マウンドに上がるときにあの大歓声を受けてマウンドに立ったときには、
『せっかくここまで来たなら、みなさんの前で達成できたらいいな』と思って最後の気力を振り絞ってがんばりました」

◇ ◇ ◇

RCC野球解説者 天谷宗一郎 さん
最高ですね。

石田充 アナウンサー
涙を流したマツダスタジアムで、今度はファンの方が涙してしまうような…

青山高治 キャスター
本当によかったです。

田村友里 キャスター
歴史を知ると、より感動します。

石田充 アナウンサー
11年目の今シーズン、ここまで勝ち星は3勝なんですが、防御率1.07はセ・リーグトップですから。

天谷宗一郎 さん
すごいです。去年のくやしさをしっかりとはらしてくれています。
出してくれてますね。

石田充 アナウンサー
リリーフも2年目には経験して51試合に投げて成果を挙げたシーズンもあって、いろんな経験、中継ぎのたいへんさも自身、経験しているという大瀬良投手なので、やっぱり選手会長は譲ったとしても、いろんなものはまだまだ、若い選手たちに伝えてくれます。

天谷宗一郎 さん
インタビューのはしばしに大瀬良投手の人柄が出てきます。ぼくもいちおうLINEで「おめでとう」と連絡したんです。最後にいっぱい連絡来るだろうなと思ったので「返信不要です」って言ったんですけど、「次の日、ありがとうございます。疲れました(笑)」みたいな感じで返ってきたので、さすが、大地だなと思います。

石田充 アナウンサー
そして、背番号14というと、やっぱりストレート。最近はカットボールの割合が多いんですが、要所要所で1球ぐらいあったり、今回のラストボールがまっすぐだったっていうのも何かドラマだなと思いました。

(RCC「イマナマ!」カーチカチ!テレビより)

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