ことしの夏はさらに高温多湿に…韓国政府、「気候フレーション」対応に総力=韓国報道

ことしの夏は平年よりさらに暑く、さらに多くの雨が降ると予想され、気候の変化が食料品の価格を上昇させる「気候フレーション」の懸念が高まっている。まだインフレの火種が消えていないため、食料品の価格が再び高騰すると、2%台にまで鈍化していた消費者物価に油を注ぐ可能性がある。韓国政府は天候の影響を大きく受ける農作物を中心に需給を集中的にコントロールし、農家に与える影響を最小化する方針だ。

テグ(大邱)とウルサン(蔚山)をはじめ、ヨンナム(嶺南)の一部地域に10日、今夏初の猛暑注意報が発令された。 昨年(6月17日)より約1週間早い発令だ。世界気象機関(WMO)が韓国など12カ国の気象庁の気候予測モデルを総合して出した見通しによると、韓国の6月から8月の気温が平年より高くなる確率は74%から80%に達する。気象庁は、毎年最高記録を更新している海水面の高温現象が、今夏の高い気温と多くの降水量につながると分析している。

猛暑と豪雨が同時に起こる複合災害は、昨年も私たちの食卓を襲った。昨年7月にはサンチュ(83.3%)、 ほうれん草(66.9%)、大根若菜(55.3%)など気象状況に敏感な野菜類が7.1%も急騰し、昨年8月にはりんご(30%)、もも(23.8%)、すいか(18.6%)などを中心に果物が13.1%も急騰した。

韓国農村経済研究院(KREI)の「異常気候が農業部門に及ぼす経済的影響の分析」というタイトルの報告書によると、史上最悪の猛暑が訪れた2018年夏の白菜(10キロ)と大根(20キロ)の価格は1年前よりそれぞれ23.1%と45.8%急騰し、ぶどう(47.1%)となし(15.2%)などの季節果物も大きく上昇した。統計庁の国家統計ポータル(KOSIS)によると、史上最長の梅雨に見舞われた2020年には、9月の農畜水産物価格が前年比13.5%も上昇し、9年6か月ぶりに最高値を記録した。

特に、ことしは朝鮮半島の南側と東側から流入する低気圧が影響を及ぼし、局地的に多くの雨を降らせるいわゆる「極限豪雨」現象が続くとみられている。韓国開発研究院(KDI)は「気象条件の変化が物価に及ぼす影響と示唆点」というタイトルの分析報告書を通じて、降水量が100ミリ増減した場合、生鮮食品の価格上昇率が0.07%高くなると推算している。

韓国政府は、夏の短期要因として発生する食料品価格の上昇圧力を減らすため、全力で対応する方針だ。白菜や大根などに対しては需給をコントロールするために今月中に春白菜1万トン、春大根5000トンを追加で備蓄し、夏白菜の契約栽培量を6万7000トンに拡大することを決めた。昨年のような集中豪雨が起こる状況に備えてサンチュや青唐辛子などの作況を注視しながら、被害発生時には再播種費用や出荷支援金などの支援を行い、迅速な再出荷を助ける計画だ。

農林畜産食品部は月に1度または随時開催してきた次官主宰の「農食品需給状況点検会議」を毎週開催へと定例化し、夏のシーズンには生育状況まで調査することを決めた。農林畜産食品部の関係者は「夏場には高温多湿な環境に弱い高冷地野菜の作況が悪くなる可能性があるため、事前に雨が多く降る時期に拡がる炭疽病の予防に総力を挙げ、昨年のような事態が起こらないようにしなければならない」と述べ、「ビニールハウスの浸水などに備えて、各自治体にあらかじめ排水路の整備状況を点検させる予定」と説明している。

専門家らは、異常気象が「ニューノーマル」になっている状況で、中長期的な対応策を講じるべきだと指摘している。チュンナム(忠南)大学農業経済学科のキム・ソンフン教授は「施設園芸技術やスマートファームなどに対する投資を増やし、気象変動に対してさらに積極的な対応を可能にする生産システムを構築することが必要だ」と述べて「現在、政府による備蓄品目は短期的に需給変動が激しい野菜を中心に11品目しかないが、国産果物など体感物価に敏感な品目にも対象を拡大する案についても検討する必要性がある」と述べた。

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